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夏になると、野生のオルカが鮭を追ってたくさん集まってくる、カナダ、BC州のジョンストン海峡。その中でも、オルカが特に頻繁に通過するハンソン島から、毎日の生活とオルカの様子を、日本の皆さんにお届けします!

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8月3日(最終日)

あさ5時半に目覚めました。
うそでしょ、夜の間コールがなかった…?

お留守番に疲れすぎて起きられなかったのかと思い、ラボ内に行ってログブックをチェックしましたが何も書いてありませんでした。いちおう、アシスタントがこれだけいる時期は夜シフトの人はラボ内で起きていてモニタリングしているので、本当に鳴かなかったのでしょう。
9日目にして初睡眠!!


そして、あすの朝に島を出るのでこの日がラストデイです。


午前6時半。
さてオルカたちはどこだろう、まだ東かな?とexploreのラビングビーチカメラを操作していると、遠い東にものすごくかすかにひとつのブローが見えました。

「ひとつ…?」

ブローは本当に遠くそれきり見えなくなったので、ザトウクジラかな?と思い一応アラートベイにいるポール(早起き)に携帯で報告。
そのまま各カメラで監視を続けていました。



午前8時半ころ。
無線で「オスのオルカが1頭でカイカシュ川沖を西へと進んでいる」との情報が入りました。
え、まさかさっきのラビングビーチ東の遠い遠いブローはやっぱりオルカだったのか…?
すごいスピードで、ずっと1頭で泳いで…




T73Bくん!!??ヽ(゚Д゚)ノ




前日にコモックスの入江から飛び出て北西へと向かったT73Bくん(前日の日記参照)は、ものすごいスピードでジョンストン海峡を西へと進み私たちのエリアを通過して行ったのです。
午前6時半のあのブローが果たしてほんとうにそうだったかはわかりませんが、時間的にはぴったりでした。

彼は9時すぎにテレグラフコーブ沖を通過し、西へと進んでいきました。




あとオルカラボジャパンのツイッター(@Orcalab_JPN)では報告していましたが、サザンレジデントJ17sのJ35さん(1998年生まれのメス)のことをこちらでは書いていませんでしたね。

サザンレジデントのオルカたちは深刻な食糧(キングサーモン)不足に直面しており、栄養状態が悪いためかここ数年は赤ちゃんが生まれてもすぐに死んでしまう状態が続いていて、生まれた赤ちゃんが死ななかったのはなんと3年前までさかのぼります。
この20年で40頭が生まれましたが、その間に死んだのは72頭だそうで、現在は全部で75頭しか生存しておらず絶滅の危険にさらされています。


そして、7月24日にビクトリアの近くで生まれたJ35さんの赤ちゃん。
生きて生まれたものの、わずか生後30分で動かなくなってしまいました。


オルカたちは知能が高く、赤ちゃんが死んだことはJ35さん自身も家族も認識していたと思われます。
しかしJ35さんは動かなくなった赤ちゃんの身体をどうしても失いたくなかったようです。
鼻先に乗せて国境のほう、アメリカのサンファンアイランドに向かって移動しはじめました。
時折赤ちゃんの身体は鼻先から滑り落ち、海に沈んでいき、J35さんは深く深く潜ってその身体を回収しなければなりませんでした。




イルカやオルカの母親が死んだ赤ちゃんを1週間以上も離さないという事例はこれまでにも確認されたことがありました。他の哺乳類でもこういった行動は珍しくはありません。
しかしJ35さんのこの行動は1週間どころでは終わりませんでした。


常に赤ちゃんの身体を運んでいるため、魚を捕まえたりといった通常の食事はできません。
(オルカたちは食べ物をシェアする動物であるため、J35さんの長男が運んでいるのではという説もありましたが)
その状態でなんと1600キロ以上も海を泳ぎました。
他の家族(J17sは全員で6頭です)もJ35さんを置いていくようなことはせず、一緒にいたそうです。


こちらの記事では「この10年間に彼女は他にも2頭の赤ちゃんを失ったようだ」とありますね。
次々と赤ちゃんを失った悲劇を乗り越えるにはこの行動が必要だったのでしょうか。


しかし時間がたてば、どんなに冷たい海でも腐敗はします。
16日目に赤ちゃんの身体が崩れ始めているのが確認され、赤ちゃんの身体を運び始めてから17日目、先日8月11日にようやく海に落としたのが確認されました。


研究者たちは安堵しました。
これでようやくJ35が普通の生活に戻れるからです。
赤ちゃんの体は深く沈んでしまい、おそらく(人間も)回収して死因を調査することはできないであろうとのことです。


オルカは深く入り組んだシワのある脳みそを持っており、その大きさは人間の脳みその4倍です。
自然界で生きていく中で、このような巨大で複雑な脳を持つ必要があってそう進化していったということです。
高度な社会性、豊富な方言、それぞれの個性、家族の絆の強さ、家族と離れたときの強いストレス…20年観察していても「なんて面白い動物なんだろう」と毎年のようにあらためて思います。


J35さんにとっては赤ちゃんが死んでしまったことが相当なストレスだったのだと思いますが(海外メディアはわかりやすく「非常に強い悲しみ」と表現していますが、日本でそう書くと嫌がる方が一定数いらっしゃいますので…)、赤ちゃんを海の底へ落としようやく一区切りついたらしく、現在は家族と一緒にいつものように泳いでいる姿が確認されているそうです。



一方、サザンレジデントのJポッドでもう1頭注目されている個体がいました。
J16sのJ50ちゃん(2014年生まれのメス)です。
J35さんがいるJ17sとは別の群れですが一緒に行動していてメディアの目が向けられました。

4歳のJ50ちゃんはこの先の生存が危ぶまれるほどガリガリに痩せていたのです。


健康なオルカのかたちをよく知っている人ならわかるかもしれませんが、写真で見るとブローホールの周辺がくぼみ「ピーナッツヘッド」と呼ばれる状態であることがわかります。

専門家たちは「周辺に餌を運ぶなど特別なケアをしないと死んでしまうのではないか」と考えています。

子供を産める年齢のメスの数が非常に限られており、生まれた子供もすぐに死んでしまう状態のサザンレジデントでまた幼いメスの個体の生命が危険な状態にあるのは非常に大きな問題です。
サザンレジデントは食料のキングサーモンが少ないだけでなく、非常に多くのウオッチング船やレジャーボートに囲まれやすい状況にありコールやエコロケーション機能をうまく使えない状態なのではないかと言われています。
カナダ漁業局では「この個体から最低500mの距離をとってください」とボートに呼びかけています。

J50ちゃんの問題については今後もツイッターなどで情報を更新していければと思います。


※サザンレジデントの個体識別カタログ2018年版は
https://www.whaleresearch.com(英語サイトです)
にアクセスし、CWR(Center for Whale Research)サポート会員として月額登録するとダウンロードできます。
最小額で月額5ドルからサポートできます。
支援したい方、興味がある方は登録してみてください。



また、オルカラボでもマンスリードネーションプログラムを行なっています!
http://a55lovestomoko.blog60.fc2.com/blog-entry-350.html
オルカラボをサポートしたい方、野生のオルカたちのために何かしたいけど何をすれば良いかわからない方は、よろしくお願いいたします。



さて!ノーザンレジデントの話題に戻りましょう。
昨夜から行方がわからなくなっており、東に行っていたのではないかと推測されていたA54sとA42s。
午前9時過ぎにイズミロック沖を東へと進んでいるのが発見されました。
黙ってうろうろしてたんかーい



午後になってポールとヘレナが帰ってきて、
そのまま潜れるスージー、ショーン、エマの3人がポールと一緒にCPの水中カメラのセッティングに行ってその間わたしはシフトのカバーに入って。


最終日だけどやはりなんだかんだとずっと忙しくラボにいました。
私はラボ2Fで生活していたためテントを畳む必要がないし、ラボでは普段からきっちり場所を決めて荷物を整頓して置いているので、パッキングは30分でできるほど超簡単なんですけどね。
CPの水中カメラは本日はセッティング完了できず翌日に持ち越しに。
ダイビング組も帰って来ました。


A30sとA42sは18時〜20時ころまでブラックニー・パスの入り口で食事。
そしてオルカラボの方にやってきました。


夕暮れの空の下、目の前に現れたオルカたちの姿は本当に美しいものでした。
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あまりにもバタバタしていたので本日もメインハウスでのディナーはなし。
わたし、Pちゃん、ディランは暗闇の中キャンプキッチンで協力してディナーをつくりました。
(今シーズンはヘレナのディナーが数日に1回になってさみしかったですが、ヘレナの負担がかなり減ったようでそれはそれで良かったです)
ダイビング機材を片付けたショーンとスージーが来て、シフト前のスージーに「ダイビングお疲れ様」といってディランが作ったポテト炒めをちょっとあげました。


そして前日にシュノアが旅立ったため、彼女が入る予定だった夜シフトの午前2時~6時が誰もいないという話になりました。
ショーンが「やってあげたいけどわたしはあした朝6時からシフトなの…」
スージーが「わたしもやってあげたいけどこのあと午前2時までシフトなの…」というので
わたしとディランが「わたしがやる」「僕がやるよ」「じゃあ2時〜4時と4時〜6時、2時間ずつにわけよう」と口々に言っていると

「あなたたちは今日1日じゅうラボで仕事してたじゃないの!これ以上働く気?すこしは休んで人間らしくしたら?」
とショーンとスージーに言われたのですが、あす島を出てこの仕事からまた1年離れるリピーターの寂しさを察してくれたのか、Pちゃんが「もう黙ってふたりに夜シフトをやらせてあげましょう笑」と言ってくれました。



ショーンは朝早いので寝に行って、
スージーはシフトでラボに行って。

島を出る組は食料を使い切らなければいけないため、わたしはパプリカと玉ねぎとにんにく、ブラックオリーブ、フェタチーズ、サラミなどあらゆるものを切り刻んでスペイン風オムレツにぶちこみました。
結果、まったく味付けしていないのにレストランで食べるよりおいしいオムレツが完成しました。笑

盛り付け雑だけど本当においしかったんですよ
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3人でディナーを食べながらひと息。
と、海のほうから



ブホッ、ブホオオッ



わたしたち「オルカだ………」

わたしは食事をわすれて即座にラボに走りました。
ラボ内で本を読んでいたシフト中のスージーに「オルカたちが戻ってきた!」と言ってデッキに出てもらい、レコーディングスタート。
ディランがわたしの食べ残した皿を持ってきてくれました。
「あの様子だとたぶんトモコはラボから戻ってこない」
と言って、Pちゃんと洗い物までしてくれたそうです。


わたしとスージーはラボでジョンストン海峡へ戻るA30sとA42sたちのブローを見送りました。


ディランも「明日島を出る組」なのに、わたしと同様に一日中他人のシフトのカバーでラボにいたせいでまだテントすら片付けることができておらず、キャンプキッチンでのディナーを終えた23時の時点でようやく荷造りをはじめテントをたたみにいっていました。
一緒に島を出るベン(超絶マイペース)はたぶん誰よりもはやく荷造りを終えてマップルームかどこかでさっさと寝ていたはずです。笑

わたしは荷造りには手間がかからないし、きのう寝たし、今夜どんなに寝られなくても明日以降は睡眠が保証されてるので気楽なもので「4時-6時のシフト楽しみだな〜、オルカたち鳴くといいな」とか思ってラボの2Fで横になりながらコールを聞いていました。


4時〜6時のシフトはこの光景だからすきです
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今回オルカラボに来るのが本当に難しくて、
「せめて10日間だけでも行かないよりマシ」とこの日程にしたのですが
なんでこのタイミングで帰国にしたんでしょうね?
(もう1週間残っていればA34sに会えたのに…)


毎年夏オルカラボでのボランティアに通うため就職もできず、
日本でバイトを続けながらもう20年もカナダと日本を行ったり来たりしていますが
わたしのような「オルカの調査、特に鳴き声の聞き分け」しか能力がない日本人が、
オルカの調査のため、オルカと人間との未来のためにずっとカナダにいられる方法はないんでしょうか。
なんとかして方法を探し出さねば…。


この翌日わたしとディランとべンはこの島を出て、
その1週間ちょっと後にはアメリも島を出て、
入れかわりにまた数人リピーターを含むアシスタントたちがやってくる予定です。


我らがPちゃんは今回も9月末までいてくれます!!
ポールとヘレナがIWCで留守にしている間のラボの管理も任されているようでなんと責任重大…。
でも彼女はボートのライセンスを取得していますし、施設管理がずば抜けてできる人なので任せておいて安心ですね。
インスタグラム(@orcalab_japan)を頻繁に更新してくれていますのでチェックしてみてください。



今後もオルカたちでいっぱいで忙しい8月になることを祈りつつ、
わたしは今シーズンの残りは日本でオルカライブとexploreを楽しもうと思います。


今年は期間が短いうえに、
想像を絶するくらい慌ただしくて最初から更新もままならず、申しわけありませんでした。
いつもピーク時には更新が遅れている気がしますが
今年は最初からピークでした。


長年運営しているこのブログも期間が短くなったり、更新できなかったり、
去年は現地にすら行けなかったりでお休みが続いてしまい、
どれくらいの皆様がまだここを読んでくださっているのかわかりませんが


野生のオルカたちがいる限り、この先もできる限り長く続けたいと思っています。
また来年もよろしくお願いいたします。

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2018-08-14 : オルカ : コメント : 3 :
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8月2日

午前2時42分。
転げ落ちるように1階におりてラボ内へ。水中マイクをセッティングするとコールズオンローカルレフト、北から帰って来たA42sがラボ前に来たみたい。

シフトについていたエマに外に出てブローを数えてもらい、レコーディング。
しかしエマが「ブローが北に戻ってるみたい」と言って来て、1時間後にはA42sは北に消えてしまいました。

さらにその1時間後、午前4時半。
今度はA30sのコールがCRPTの水中マイクから聞こえ始めました。ウェイントン・パスからジョンストン海峡入りしたみたいでした。

ポールとヘレナが留守のいま、オルカたちの動きの把握はわたくしにかかっています。
結局今夜もほぼオールナイトっ



みんなはエマにヨガレッスンを受けているようです
わたしはラボに缶詰ですが



ところで。
今年はさまざまなオルカたちのニュースがありましたが、日常の仕事でいっぱいいっぱいで描くことができませんでした。まずはジョンストン海峡のノーザンレジデントの心配なニュース。


A23sのA109がシーズン初めにボートに撥ねられたのです。
(mersocietyのインスタグラムより、2018年6月30日バンクーバー島北東部にてマッケイホエールウオッチング、Marieke Knierimさん撮影)

It is hoped that A109’s severe injury will lead to better understanding for the need to: be vigilant for whales, slow down, stay 200m away (regulation effective July 11), shut off engines, not position for an “accidental” close pass, and report incidents of disturbance / violations to 1-800-465-4336. See www.SeeABlowGoSlow.org for how to reduce risk and “Be Whale Wise”. This includes information on the Whale Watch Flag, raised by boaters to alert that whales are near. One can be obtained via nimmsa@gmail.com. A109 aka as Eliot was born into the A23 matriline of Northern Residents (inshore fish-eaters). The calf is the third member of the A23s to have injuries from being hit by boats. These and follow-up images will be relayed to DFO's Cetacean Research Program. It is not known if the calf will survive. Please share to increase awareness. Photo: June 30, 2018 off NE Vancouver Island by Marieke Knierim (@mlknierim), @MackayWhaleWatching. #seeablowgoslow, #bewhalewise #whaleflag #bewhalewise

MERSさん(@mersociety)がシェアした投稿 -




傷は大きく私たちは大変心配しましたが、1ヶ月たった現在も家族と共に泳いでいるのでとりあえず命に別条はないといったところでしょうか。
これまで私たちのエリアでは、リサーチボートをのぞく全てのボートはオルカたちから「100m」離れなければいけないというガイドラインがあったのですが、今年の7月11日から「200m」に変更されました。

きちんとガイドラインに沿って運行しているボートはともかく、一般のボートのなかには自分たちがオルカに近くことによって危険が生じることも、どれだけの音を水中で出しているかも想像できていない人たちがいます。
オルライブを聴いていると「ああこのボートの音をオルカたちも聴いているのだな」と思えるのですが。


しかし実は、今回の場合においては原因は人間側だけではありません。



このブログを読んでいる皆様覚えていますか?
2015年に当時6歳のA95がボートにはねられたことを。



そして彼らの叔父のA60も2003年に大きなプロペラにはねられたことがあります。
こちらに写真が。
A23s


さらに。
実は遠い昔、この群れではA60の兄弟であるA21がボートにはねられ、命を落としています。
判明しているだけでA23sでは実に4頭がボートにはねられているのです。


A23sは想像を絶するくらいサーフィンが好きな群れです。
クルーズ船など、大きな船のプロペラが起こす波に乗って水面から飛び上がります。

もちろんそんなことをすればプロペラにはねられて死ぬ危険があります。
オルカたちは高い知能を持っていますし、野生動物なら危険を回避するはず…ですし…、特に家族のほとんどがボートに撥ねられているA23sは十分にその危険性をわかっていてもおかしくないのですが。


少なくてもA60は、なぜか傷が癒えた段階でまたサーフィンを始めています!!



一体なんなのでしょうか。
そんなことをやって食事である鮭が得られるわけでもなく、あこがれの異性をゲットできるわけでもなく(たぶん…)


彼らを見ていると空中で大技を繰り出すサーファーさんやスノーボーダーさんなどを思い出します。
たぶん失敗したら大怪我をするほど危険なことは理解したうえで、あえて波乗りをやっているのです。
えっと、アスリート?


「人間のほうも必死にオルカたちとの距離をとろうとしているのに、A23sはなんてばかなんだ!!」
と言いたくもなりますが…


このような一見、理解しがたい行動を見ていると、オルカたちの知能はわたしたちの想像以上に高く、単純ではない感情を有しているのではないかなと思います。
(ちなみにこんな危ないことをするのはなぜかA23sだけです。家族によって楽しいことも、危険回避能力も違うようですね)


※ボートをお持ちの皆さん、A23sは本当に危険なので離れてください。しっかり距離をとって、エンジンを止めてください。波乗りのターゲットにされると自分が加害者としてオルカを轢き殺してしまう可能性もあります。そうなれば絶対一生モノのトラウマになります。彼らは200m離れた距離からでもじゅうぶん美しいです!



そしてこの日はもうひとつ、トランジェントのニュース。
7月から1頭でコモックス(キャンベルリバーより東)の入江にいたトランジェントのT73Bくん。なんか前にも入江から出られなくなったトランジェントがいましたが、あれはT46C2くん、別の個体です。


T73Bくんがいたコモックスの入江はわりとにぎやかな場所で、いったい何をどうしたかったのか、T73Bくんは船を引っ張ったりして暴れていたそうです(引っ張られた船は他の船に衝突しそうになり、かなり危険な様子でした)。


そこで!!
DFO研究者のジェレッド・タワーズさん。T73BくんがよくつるんでいるT75sとT77sのコールを録音して持っていたようで、それを流したのです。
T73Bくんは即座に、ものすごく反応して入江から飛び出ました。
そして猛スピードで北へと向かったそうです。
T73Bくんの写真はコチラ



その間もA30sとA42sはジョンストン海峡をウロウロ。
昼過ぎにジェイニー(元セターシアラボ)が助手のシュノアを連れて自身の研究所に戻って行きました。
さようならジェイニー、シュノア。また来年会いましょう。


その後、ポールとヘレナから連絡がありました。
「今日はバタバタして遅くなっちゃったから、明日帰るね!今ジェイニーとシュノアと一緒にピザを食べてるよ!」


あ、そう…。
お留守番延長確定です。


ショーンとエマとベンがディナーを作ってくれて、ウォーラスのキャンプからマークも降りてきていてみんなでメインハウスで食べました。みんなでホットチョコレートも飲みました。
これで夜も戦えるかな…。

コールは23時半に消えました。
2018-08-12 : オルカ : コメント : 0 :
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8月1日

オルカラボにいるときは「ヤバイ」と思う忙しさに見舞われるのが「当たり前」ではあるのですが、今年は本当にヤバイです。なぜなら昨日の昼にマグボトルにいれたアールグレイティーを飲む暇がなくて、日付が変わった今ようやく飲んでいるからです。
まだ熱いのが幸いです、サーモスありがとう。


新人のショーンがひとりでシフトについていたのですが、オルカたちがラボの前に来ていたためわたしがレコーディングを交代し、リピーターのディランがショーンのサポートで一緒に外へ出てオルカたちのブローを数え、動きを追ってくれました。


北からA30sとI15sの一部がやってきていて、ジョンストン海峡からはA4s(A35sとA73s、)とA42sが来ていて午前0時の時点でオルカラボの前はブローだらけでした。
ボートが3隻通過して、外にいるふたりが「ブローが聞こえにくく、動きが把握しづらい」とホワイトボードに書いて見せて来ました。
オルカたちはしばらくそのまま動かず、コールも止まり1時間。


「一部のブローはジョンストン海峡に戻り、残ったブローは北に進んで行っているみたい」とラボ内に戻って来たふたりが言いました。
普通に考えると北から来た群れが北に戻り、ジョンストン海峡から来た群れがジョンストンに…というところですが、そのすぐあとに驚くべきことが起きるのです。


なんと北からもジョンストン海峡からもA30sのコール…!!
A30sのA50sは、A4sを連れてI15sと一緒に北に戻り、A54sとA42sと一緒にジョンストン海峡に入りました。
つまり、私たちの眼の前で(といっても暗闇の中ですが…)A30sがふたつにわかれました。
今までにも少しそういった兆候はあったし、別にこれが初めてのことではありません。お母さんのA30さんが亡くなってしばらくたち、A50sもA54sもそれぞれの家族として少しずつ独立して行くのでしょう。
でもずっとA30sを見て来た私たちにとっては、やはり目の前でこういったことが発生すると、こたえますね…。

その後もA54sとA42sはずっと周辺をウロウロ。

午後になって、ポールとヘレナが用事でアラートベイへ行ってしまいました。
毎度のことですが責任が重くのしかかるお留守番…。


今日の18時から紅鮭の漁が36時間解禁となりました。
大型の商業漁船が何十台もジョンストン海峡に現れ、水中マイクはボートノイズでいっぱいになりました。

そんなボートノイズの中わたしとディランには、北に行ってジョンストン海峡にはいるはずのないA4コールが聞こえてさらにあたまが痛くなりました。
いや、たぶんA42sがやってるんですけどね。
ここにきて「スプリンガー風weeawu」まで披露してくるのはやめてほしいです。

(ディランはコールに尋常じゃない興味があるうえカナダ人なので、もしいつかラボを卒業したとしても将来このエリアのオルカ調査を支える立場になると思われるため、私にいつ何があっても大丈夫なように脳みそハードディスクのバックアップとするべく一昨年から超スパルタでがっつりコールを教えています)


午後7時半ころ、A54sはオルカラボの前を通過して北へ。
わたしとスージーがデッキで個体識別をしていて、Pちゃんとディランが中でカメラ操作とレコーディングをしていて、A54sが北へ消えたので、スージーがガラスごしに
「夕焼けの山を映して」とダービー山のほうを指したら、中からPちゃんとディランが山を指して
「オルカ」と言っていました。

スージー「オルカじゃなくて、山」
ディラン「いやいや、オルカ」
スージー「いやオルカは北に行っちゃったから、山を映して」
ディラン「だから、そっちにオルカがいるって!」
スージーとわたし「え!?」

A42sが続いて来ていました!
意味もわからず必死に山だ山だと訴えていた私たちは一瞬、個体識別も忘れて笑い転げました!笑
デッキにいるのにラボ内から指摘されるとは…笑


遠かったのであまりいい写真ではないですが
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山。笑
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そういえば、なぜスージーとわたし、ディランとPちゃんしかラボにいないのでしょうか?
まあ、ポールとヘレナがいないのでみんなリラックスしていて、オルカが遠いときは別に…って感じなのでしょうか。(ラボにいたわたしら4人は全員リピーターです。やっぱりね!)



ポールもヘレナもいないのにオルカたちが変な動きをしてわたしがいつまでもラボに缶詰になっているのを哀れんだPちゃんとシュノアがディナーを作ってラボに持って来てくれました。
エマはクッキーをくれました。寝る時間は相変わらずありませんが、みんな優しくて涙がこぼれます。

オルカたちは全員北にいき、23時にはいったんコールが途切れたのでした。
2018-08-08 : オルカ : コメント : 0 :
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7月31日

午前1時半。

オルカたちは夜の間もずっと鳴いていました。
わたしはシフト上では午前2時からの予定だったのですが、日付が変わったころから階下のラボ内でうろうろ、うろうろと落ち着かない足音が聞こえているなあと思ったら、午前1時半にベンが
「もう一秒も起きていられないから交代して」
と言って来ました。
コールが聞こえている間はどうせちゃんと寝てないから別にいいけど…。


午前2時半。
ピカッ、ゴロゴロゴロゴロ。

深夜のブラックニー・パスがとても明るくなりました。
光るごとに水中マイクの音も乱れて、雷が大嫌いなわたしは震え上がりました。

ここ数年ラボではWatsAppという、日本でいうLINEみたいなアプリのグループチャットで情報共有をしているのですが

「通知がばんばんくるなあ、雷ぜんぜんやまないし、ここまでの轟音だとテントでは不安だからみんなバスハウスとかに避難してるのかな」

と思って確認したら、ディランとシュノア2人だけ(たぶん、アシスタントたちのなかではセンシティブなほう)が
「雷すごいけどみんな大丈夫?」
と交互に言っているだけでした。


翌朝確認したところ、他のみんな(インセンシティブ)は各自のテント内でなんとなく起きてはいたものの返信するほどの気力はなかったらしく、昨日到着したばかりのスージー(去年からのリピーター)に至っては雷が鳴ったことを知らないほど深い眠りについていたそうです。
何があっても絶対起きない人だとPちゃんから聞いてはいたけどさすがです、スージー…。


今年のアシスタントもまあそれぞれにいろんなキャラクターで面白いです。
今回のわたしの滞在が短いので、あんまりみんなと長い時間を共有できないのが残念ですが。


そしてわたしはこの日、寝た時間をカウントするのはやめました。
「こことここの間に30分寝た。ここではウトウトしていただけだけど40分は横になっているはず。このときは1時間ちょっと寝た、だから合計…」と計算するのなんて無意味でしかない。要は体が動くか、動かないかだ。


今日はわたしはいろんな事態が重なって食事もままならないくらい本当に1日じゅうラボに缶詰になっていたのですが、オルカたちにおいては非常に興味深い行動がみられました。
夕方16時くらいからA30sとI15sが「ブラックニーパスの入り口」で食事を始めたのです。


べつにそれ自体はもう飽きるくらい見慣れた行動で、このブログやオルカライブアップデートを数年間読んでいる方がいるとしたら「ああ、あれね」と思うのかもしれませんが、問題はこれが「7月」であることです。A30sとI15sがブラックニー・パスの入り口から動かないのは8月後半から9月にかけて、なぜなら彼らが食べているのは「チャムサーモン」だからです。


ディランのルームメイトのローレンさんがちょうどこのエリアの調査船に乗っていて、情報をくださったのですが、今年はすでにチャムサーモンがジョンストン海峡に来ているとのことでした。
確かに8月によくみられる群れであるI15sがすでに来ていたりするし、今年はいつもよりいろんなことがちょっと早いようです。


20時ころ、へとへとになっていったんラボから抜け出しキャンプキッチンに行くと、シュノアがお疲れ様といってホットチョコレートとティムタムをくれました。
ティムタムの両端をちょこっとかじって、ストローのようにホットチョコレートを吸う食べ方を知っていますか?ちなみにわたしは成功したことはないのですが、どっちにしてもティムタムがとろけて最高です。


あまりにも忙しかったのと、オルカたちがラボ前を通過したときはラボ内でライブカメラのコントロールをしていたため、この日の写真がPちゃんとディランが作ってくれたキャンプキッチン用包丁スタンドの写真しかありません。
でも1日ラボに缶詰になって、出て来たら新しいツールが増えていたのでとても嬉しかったです…笑

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2018-08-06 : オルカ : コメント : 0 :
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7月30日

少しでも余裕があるならさっさと寝ればいいのに、ラボでPちゃんとディランとシュノアに昔のオルカたちの話やスプリンガーの話をしたりして超盛り上がってしまい気づいたらすっかり日付が変わっていました。

はじめてこの話を聞くシュノアはともかく、何度も聞いているはずのPちゃんとディランまでスプリンガーの話を聞くたびにちょっと涙ぐむのは何なんでしょうか。笑 
やはりこの場所で実際に起こった出来事というのは大きいし、主人公のスプリンガーが、いま野生のオルカの1頭として子どもをつれてそのへんを泳いでいるというのもうるうる来てしまう原因のひとつかな。


午前2時49分。
がばっと起きて寝袋から飛び出てラボに。
エマがレコーディングをスタートさせたところだったので、ささっと水中マイクを振り分けてあげました。
「えっと、コールズオンLLだね…つまり、オルカたちがラボの前にいる」

いったんラボの前に現れたオルカたちでしたがなぜかそのまま入っては来ず、方向を変えて北へ。さらにウェイントン・パスを通過してジョンストン海峡入り。
いったんロブソンバイトまで到達したものの、方向を変えてまた西へ。


午前6時半、オレンジの朝日と霧の中オルカたちはラボの前を通過して北へと向かいました。
うつくしい…
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海峡ではA35s、A73(スプリンガー)s、A42sがずっとウロウロしていたのですが、午後6時になってA30sのコールも北から聞こえ始めました。
A35s、A73s、A42sはオルカラボの前を通過してジョンストン海峡へ入ったのですが、いつまでたってもA30sは現れない…

デッキでA30sを待っていたPちゃんとディランが
「どうすればいい?」と聞いてきたので
「ハーモニカを吹いて!」
とディランに頼みました。



つい数年前まではオルカラボで代々オルカを呼ぶ手段はケルプホーンだったのですが、
最近はハーモニカになりました。
フリーウィリーの影響らしいです。笑


ハーモニカを吹き終わったディランとPちゃんが突然デッキで大爆笑しだしたのでどうしたのか聞くと、なんと吹き終わった瞬間にA30sが北から姿を見せていました!!笑
楽器はなんでもいいのだろうか。
次にオルカを待つときは日本から持って来たムックリを弾いてみます。


しかし音楽が止まったせいでしょうか(笑)A30sはすぐに方向を変えて北へと戻ってしまいました。オルカたちの動きは止まらずコールはオールナイトで続きます…
2018-08-04 : オルカ : コメント : 0 :
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プロフィール

Tomoko(Orcalab Japan)

Author:Tomoko(Orcalab Japan)
カナダ・BC州の海洋生物研究所「オルカラボ」で、野生オルカ(シャチ)の鳴き声の解析スタッフをしています。
夏の間は研究のためオルカラボのあるハンソン島に滞在。日本ではよくライブハウスにいます
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