夏になると、野生のオルカが鮭を追ってたくさん集まってくる、カナダ、BC州のジョンストン海峡。その中でも、オルカが特に頻繁に通過するハンソン島から、毎日の生活とオルカの様子を、日本の皆さんにお届けします!

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8月24日

 CP、そしてラボ最後の日!!
 朝からわたしたちはひっきりなしにCP前を通過するオルカたちの記録とりに追われながら、CPを出る準備をした。午後にはメラニーとハナが交代でやってくる。それまでに建物の掃除をし、冷蔵庫を空に、こんろをピカピカにして、荷物をまとめて海岸の岩の上に運ばなくてはならない。

 ヘレナから電話がかかってきた。聞けば、子ポールに水中カメラの掃除もしてほしいという。子ポールもCPを出るつもりでダイビングギアを全部片付けてしまっていたのだが、大好きなヘレナの頼みはやはり断れない。二つ返事で「うん!やります」と答えてオルカたちの通過を待ち、CP前の海に潜った。

 わたしは自分の荷物を詰めなければならなかったのだが、ブホッというイシイルカの呼吸音が聞こえたので、プラットフォームに出た。すると、今まで見たこともないほど岸近くにイシイルカが泳いでいる。子ポールは彼らの姿を水中で見ただろうか?子ポールの一眼レフを持ち出したが、少し遅かったようだった。彼らの姿は見えなくなっていた。
「ねー、イシイルカ見れた?」
わたしは水面に上がって来た子ポールに尋ねた。
「何だって?」子ポールは全く気づいていない。彼の背後3mくらいのところを何頭かのイシイルカが通過したことを教えると、彼はショックで固まってしまった。ちょうど、カメラをふいていて気がつかなかったらしい。
 あまりにも可哀想なので、まだ近くにいるであろうそのイルカたちの姿を探す。すると、CPビーチの方にブホッという音と水しぶき。
「あっオルカだ」
言って、自分でびっくりした。オルカ!?さっきみんな、東へ行かなかったっけ?っていうか、めちゃくちゃ近いんですけど…!!

 A24sはCP前のケルプのすぐ沖を、ゆったりと泳いでいた。子ポールは水に浸かったままだった。同じ目線でその大きな大きな姿を確認した子ポールは、泳ぎだすこともなく、呆然とその姿を見送っていた。

 あまりにも突然の、そして印象的なA24sの通過にわたしたちは笑い出してしまった。急すぎてビデオは回せなかったけど、イシイルカのおかげで一眼レフを持っていたから、個体識別だけはすることができて、ポールとヘレナに連絡もできた。
 A24sはラボ前を通過するとウェイントン・パスを通過してジョンストン海峡に戻って来た。そしてまたCP前を通過して、他のみんなと合流するため東へと向かった。

 東から来たご一行がCP前を通過して西へと向かってしまうと、わたしたちは荷物を急いで岩の上に運んだ。たくさんの自然を楽しませてくれたCP、今年もありがとう。しばらくしてポールの友達でウオッチング船ブルー・フィヨルドの船長さんマイクが、小さなボートにハナとメラニーを乗せて迎えに来てくれた。ハナ、メラニーとお別れをし、わたしたちはマイクのボートへ。

 ラボに着くと、モモちゃんとエヴァンが出迎えてくれた。2人に手伝ってもらってテントをたたみ、ラボに走って残りの荷物をまとめる。わたし、子ポール、モモちゃん、エリッサの4人は、ボートの都合で今夜ラボを離れることになった。今夜わたしたちはブルー・フィヨルドに1泊し、翌朝アラートベイまで送ってもらうことになる。ポールとヘレナは別件でアラートベイに用事があるので、わたしたちはアラートベイで会うことができるが、アシスタントたちとは今夜でさよなら。明日までラボにいられると思っていて準備をしていなかったから、何もかもがひどくバタバタになってしまった。みんなにノートを差し出されて「ひとこと書いて」と言われたが、ほとんど何もかけずにディナーの時間になってしまった。

 ブルー・フィヨルドのマイクとジュディが大きなサーモンを持って来てくれた。アシスタントたちが夢中になって喋っている。カートが突然気の利いたひと言をいう。ポールとヘレナが笑っている。リオがいびきをかいている。
 ああ。この場所を離れたくないなぁ。
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 ディナーとデザートの後に、とつぜん子ポールがみんなとポールとヘレナにありがとうのスピーチをはじめて、みんなが泣き始めてしまった。今夜わたしたちはブルー・フィヨルドへ、たった100m沖に停まっている船に行くだけなのに、その距離は果てしなく遠い。2ヶ月を共に過ごした仲間は家族であり、兄弟であり、かけがえのない友達だ。でもきっと、この中には一生会えない友達もいるんだろう。
 辺りはもうすっかり暗くなっていた。懐中電灯で照らしながら、わたしたちは海岸を降りて行った。みんな泣きながら抱き合っていた。子ポール、わたし、モモちゃん、エリッサといういちばん仲のいい4人を失うエヴァンは「僕の夏は終わった」と声も殺さずにわあわあ泣いていた。わたしたちの夏は終わる。でも、オルカたちの夏はまだまだ終わっていない。彼らはこの美しい海でサーモンを探し、仲間に出会い、砂利で遊んで、永遠に泳いで行く。

 遠くなって行くくらいラボに向かってわたしたちは手を振った。島に残ったダニエラ、エヴァン、パメラ、モリーが、一生懸命に「元気で」「気をつけて」と叫んでいた。わたしたちも「ちゃんと寝てね」「楽しんでね」と叫びかえした。来年もきっとここで会える友達がこの中にいることを信じて…。あ、咲にさよなら言ってないや。また勝手に帰ると怒るかな、あの子。
 冷たい夜風に目を細めた。夜光虫がボートの波で光っていた。

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2006-09-06 : 未分類 : コメント : 5 :
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8月23日

皿洗いばかりしてるような気がするよぅ~
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 今年CPでまる1日を過ごせるのはこれが最後。
 前日の夜中に、北にCsとDsを見送りに行っていたご一行がかなり遅くまでかかってジョンストン海峡に入ったので、わたしはブローを数えるために遅くまで起きていた。朝はゆっくりしていたかったけど、ついクセで早起きしてしまう。スコープを外に出し、ソーラーパネルの方向を変え、寝言を言っている子ポールを起こしてやかんを火にかける。もう少ししたらログを打とう、うんそうしようとダラダラとココアを飲んでいるうちに、やっぱりA12sのご一行が東から戻って来た。

 オルカたちは今日もバンクーバー島ぞいに西へと進んでいたので、個体識別は不可能に近かった。こんな感じだとオルカが見えるには見えるからいつまでもスコープを覗いていなきゃいけないし、見えなくなるまで時間はかかるし、その間ログを打ったりほかの仕事をすることもできないなぁとわたしは背伸びとあくびをした。最後の日なのに、寝る時間を削っても全然タイピングは進んでいない。日記もなかなか書けない。時間が足りない…。
 そんなわたしの前に、衝撃の事実が待ち受けていた!!

 CPにトイレはない。基本的に、自分でどこかに行くことになる。最近、クーガの目撃情報が頻発して、あまり森の奥深くに行くのは恐ろしいことがわかったので、わたしは海岸に行くことにしていた。
 CPのプラットフォームを降りて、岩ぞいにビーチの方へと進む。「何に遭遇するかわからないから、出歩く時はカメラを忘れないように」と子ポールから言われていたので、「クーガに襲われても写真だけは残すよ…」とポケットにはデジカメ。しかし、外に出るたびにキツツキや田中ではないふわふわのリスに出会う子ポールとは対照的に、わたしは小鳥の1羽にすら出会えない。全くツキのあるなしでこんなにも違うのかと、とぼとぼ海岸ぞいを歩いていると、青い影が目の前を横切ったような気がした。
「ステラーズ・ジェイかな」
そういや、この間子ポールが「1羽見たけどすぐに逃げちゃった」と言っていたような気がする。CPをなわばりにするような個体だから、人間慣れしてるとは思えないけど、わたしはとりあえず咲を呼ぶ時のようにその子を呼んでみた。チッチッチッ。

バサバサッ。

 遠くから再び青い影が見えた。えっ、でもさっきの子とは違うよね。わたしは上をキョロキョロ見回した…1羽、2羽どころではない、5羽はいるではないか!!全員、わたしに興味を示しているようだが、怖くてある程度の距離からは近づいて来れないようだった。しかし。バサバサバサッ。ギャー、ギャー。

「ええ!?」
近づいてこない青い鳥たちの中から、突然わたしの目の前に舞い降りた、見覚えのある左目タレ目の個体。咲みたいに決して堂々とはしていないけど、こっちの表情をうかがうように、落ち着きなく、首を傾げるこの子は…。
「そそそ、そわそわでしょ!?あんたこんな所で何やってんの!?」

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 咲に追い出されてハンソン島を出たのか、急にいなくなったわたしを探してここまで来てくれたのか。何が起こってこうなったのかはわからないが、そわそわは島を渡ってCPに来ていた。何に出会うよりも嬉しい小さな再会だった。咲なんてきっとハンソンでトサカたてて怒っているだけだろうに。ああ、カメラ持って来ていて良かった…(Pд`q)

 お昼ころに方向を東へと変えてラビングビーチまで行ったオルカたちは、また方向を変えて西へと進み、またそこで方向を変えて、今度はレスティング・ラインを組んで休みつつゆっくりゆっくり東へと向かった。食材が切れたわたしたちは、最後のパンでサンドイッチを作って食べた。明日にはもう、ここを離れなければならない。
2006-09-06 : 未分類 : コメント : 0 :
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8月21日

 やはり、夜中のうちにC6sとDsがジョンストン海峡入りしていた。全てのオルカたちは東に向かったが、明け方に遅れてC10sが来たため、彼らを迎えにまた西へと戻って来た。

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 ホットケーキにヌテラ(まるでチョコレートのようなヘーゼルナッツのクリーム)を塗り付け、ほおばりながらスコープを覗く。もう、朝ご飯を食べている暇すらない。オルカたちはバンクーバー島ぞいで個体識別は不可能だったので、わたしはスキャナのボリュームを最大にしてCPの水中マイクの音を聞きつつ、目の前のオルカが誰なのか探り当てながらノートに書き込んでいた。ああ、また打ち込むログがたまる(笑)。
 C10sと、彼らを迎えに来たご一行たちは方向を変え、東へと戻って行った。わたしと子ポールは彼らがロブソンバイトの方に向かって行くのを見るとようやく安心して、ココアでも飲もうかとやかんを火にかけた。落ち着く前にオルカたちの位置を再度確認して、ポールとヘレナに電話をかけないといけない。スコープを覗くと、意外なことにクレイクロフト島ぞいにブローが見えた…えっどういうこと?こっちに誰かが向かっているのか?

 みんなが東に向かっているのにこっちに来るとはどういうことだろう。しかも、呼吸っぷりから察するに完全にレジデントのオルカだ。ラボに電話した後、わたしと子ポールはココアをあきらめ、やかんの火も消して臨戦態勢に入った。この様子だとかなりCP近くに来る。しっかりと個体識別をしなければならない。

 子ポールはカメラを構え、わたしは子ポールの一眼レフを手に彼らが向かって来るのを待った。その群れは3頭のオス、2頭の小さな背びれ、子供が1頭という構成で、さっぱり見当がつかなかった。そのうち、彼らは目の前にやってきた。CP西のケルプの中だ!!

カシャカシャ。

 個体識別用の写真を撮影する。しかし、肉眼でもはっきりとオスの姿が確認できた。C6sのオス3頭だ。メスの1頭はぱっと見オープンサドルのように見えたのでC19かとも思ったが、残りのC6sはどこへ行ったのだろう?

「こんなに近くまで来たのは久しぶりだよ。誰かわかった?」
「たぶん、C6sだと思うけど…」
わたしたちが会話している間に、彼らは方向を変え、なんと東へと戻り始めた。わたしは呆然としながら彼らの姿を見送った。突然のクロースコンタクト。やっぱりオルカ大きい…。

 写真で確認して、もっと驚くべきことが判明した。オープンサドルはC19ではなく、なんてことない、いつも見慣れているはずのA42だったのだ。もう1頭はA66、そして子供はA79だった。C6sのオスたちだけがA42sと遊びつつ、CP前まで来てくれたらしい。

 オルカたちはラビングビーチに立ち寄ると、東へと向かった。朝から気を張っていたわたしたちはようやくひと息つける、とランチにサンドイッチをほおばったが…。

 レジデントたちが東へ向かったところで、ログのタイプやレビューをする時間ができると決まったわけではなかった。そのうち無線から「オルカが西にいる」とのレポートが飛び込んで来た。昨日の群れとはまた別の、T12とT12Aというトランジェントだ。彼らはCPの近くまでやってきたが、前は通過せずにバロネット・パスに入り、おやつにネズミイルカを食べると、またバロネットから出て来て、ハンソン島ぞいに西へと向かって行った。

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 今日も夕焼けがきれいだった。もちろん、ログもレビューもたまっていたけど、少しくらいリラックスしてもいいだろうと、わたしたちは子ポールのパソコンに入っていた「フレンズ」というドラマを見てゲラゲラ笑いながら夕食を食べた。
2006-09-06 : 未分類 : コメント : 0 :
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8月20日

 CP2日目。
 オルカがいなかったからログノートの打ち込みもすぐに追いつけるだろうと考えていたが、そんなに人生甘くはなかった。朝からプラットフォームのすぐ近くにカワセミが来たり、巣立ちしたばかりのカラスの子供が親にえさをねだっていたり、でっかいサーモンが跳ねていたり、イシイルカの群れが波に乗っていたりと、ログの打ち込みをじゃまするような楽しい誘惑がCPにはたくさんあり、わたしがカタカタパソコンに向かって真剣に打ち込んでいる間も、外でスコープを覗いている子ポールが「ああ!!」とか、「これは凄い!!」とか叫ぶので、全く仕事にならない。そのうちに無線から<オルカが東から戻って来たよ>という声が聞こえて来た。ウオッチングボートからの連絡だ。忙しいのはいいことだから、仕方ないけれど…。

 東から戻って来たA12sのご一行は、まず最初にラビングビーチに立ち寄ってから、ロブソンバイトに食事をしにきた。彼らはバンクーバー島ぞいに西へと進み、しばらくの間大きなコールを聞かせてくれた。

 その間、トランジェントのT11とT11Aがバロネット・パスから出て来たらしい。彼らは突然ハンソン島の東端に現れ、バンクーバー島の方に渡って、西へと進んで行った。
 レジデントたちもそれぞれジョンストン海峡いっぱいに広がって、西へと進んでった。北の方までやってきていたCsとDsを迎えに行ったのだろうか。オルカたちが小さな点になって、彼らのブローしか見えなくなって、暗くなってオルカの仕事が終了すると、ようやくログブックのタイピングに戻ることができた。

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 CPには朝焼けがないが、かわりに美しい夕焼けがある。合間合間に変わりゆく色を確認するために外を覗きつつ、わたしたちは暗くなってからの仕事…タイピングとレビューにあけくれた。ラボのみんなはどうしているだろう。忙しくて倒れたりしていないかな。スキャナから聞こえるボイスノートを聞くたびに、すぐ隣にあるはずのハンソン島のことが懐かしく思い出された。CPの夜は冷え込んだ。わたしは毛布をかぶったまま夜中まで仕事を続け、ひと段落したところでようやく寝袋にもぐりこんだ。
2006-09-06 : 未分類 : コメント : 2 :
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プロフィール

Tomoko(Orcalab Japan)

Author:Tomoko(Orcalab Japan)
カナダ・BC州の海洋生物研究所「オルカラボ」で、野生オルカ(シャチ)の鳴き声の解析スタッフをしています。
夏の間は研究のためオルカラボのあるハンソン島に滞在。日本ではよくライブハウスにいます
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