夏になると、野生のオルカが鮭を追ってたくさん集まってくる、カナダ、BC州のジョンストン海峡。その中でも、オルカが特に頻繁に通過するハンソン島から、毎日の生活とオルカの様子を、日本の皆さんにお届けします!

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9月21日

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午前6時に起床。
オルカが夜も鳴いているときは夜中起きていたので8時くらいまでは寝てたけど、静かな時は残された時間をムダにしないためにできるだけ早起きします。とはいっても9月に入ったら午前6時ではまだ暗いんですけどね。
太陽は午前7時くらいにのぼります。


午前9時前、ビッグス・トランジェントの群れがオルカラボ前を通過して北へと向かっていきました。
スコープをのぞいて「おお、知っている個体!」
毎年おなじみのT18/T19sでした。でっかいビラビラ背びれのT19Bくんを見るのも1年ぶりでございました。



それにしてもミンクの子どもというのはなんでこんなに可愛いんでしょうか?
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きょうだいがいっぱいいて、コロコロと遊び回っています。やんちゃな4匹を抱えるママミンクは毎日毎日いくつものウニをねぐらに運んで大変そうですが。



帰国前にいろんなもののしめきりを抱えていたわたしは「1分でも無駄にしてなるものか!」と必死だったわけですが、そんな時に限って目の前の海が魅力的だったりするわけです。

レジデントのオルカがいないかわりに今日もトドだらけになっているオルカラボ前。
岩の上にあがってボエーボエー鳴くのは巨大なオスだけらしいのですが巨大な彼らが100頭近く海につかったり岩にあがったりしているようすはさながら関取たちの銭湯といったところです。
あんまり個体識別はできないのですが、いちばんでっかいのを横綱と呼んでいます。

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目の前を行き交うこんなでっかい奴らに夢中になっているうちに

「ヨーフー!(アナ雪に出て来るなんかのおじさんの真似をしているらしい。わたしは映画見てないので知らないのですが…)ディナータイムよ!」

とトランシーバーでブリトニーから連絡がありました。
毎日ディナーありがとうございます!!


わたしたちがオルカラボを出るのは24日の予定。
残り、あとわずか。
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2014-09-30 : オルカ : コメント : 0 :
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9月20日

オルカのいない日ですがそのかわりにハンソン島の海岸はトドだらけ。
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オルカラボの近くまでは来ていないのはありがたいことです。だって彼ら全員ジャイアンみたいな声ですごい音量で昼夜構わずボエーボエー鳴いてるし、風に乗って流れて来るにおいも結構あれなんですもの!笑


そんなラボ前の海は穏やかで水中を泳ぐ子あざらしさんが丸見えだったのでした。
かわゆい
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朝から「Good morning!」とオルカラボコメント(英語)で書こうとして「Good boring!」と盛大に書き間違いをしたわたくし。夕方にPちゃんに指摘されるまで気がつきませんでした。
しかもオルカがいないからといってBoring(ヒマ)だなんて!!

実際のところオルカがいなくても全く時間が足りないほどやることはいっぱいあるのですが(オルカが毎日いる間に仕事をためまくってしまったため)、その前にオルカがいなくたって外の光景も素晴らしいわけで。
9月に入るとザトウクジラの行動が激しくなったり、たくさんのカマイルカが来たり、トドが増えたりするのですが本日は70頭以上ものトドさんがハンソン島に集っていらっしゃいました。
この後もどんどん増え続けて最大200頭くらいになるらしい。
ウキウキかな?悪夢かな?笑


あまりもの星の美しさにしばらくデッキで女4人で集まって喋っていました。
流れ星が2分にひとつくらいのペースで流れていました。
帰国する前にもう一度オルカたちに会えるかなあ?
2014-09-23 : オルカ : コメント : 0 :
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9月19日

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霧の朝でしたがよく晴れて、水面も穏やかだったのでディビッドとブリトニーが「カー号」でタウンランに行ってくれることになりました!
みんなの洗濯物と食べ物のお買い物リストを渡してお見送り。
オルカがいないうちにたまった仕事を片付けてしまおうとばたばたしているところに無線レポート。
「オルカたちがブラックニー・パスに向かっているよ」
えっ!?

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そうです、レジデントたちが海峡からいなくなったらトランジェントの出番です。
ビッグスのT100sとT101sはロブソンバイト沖でイルカを追いかけ、CP沖でおそらく狩りに成功し、お腹がいっぱいのリラックスした状態でオルカラボ前に現れました。
きのう1日オルカを見ていなかったわたしたちにとってありがたいオルカ。ザトウクジラやトドなんかを見て回っていたホエールウオッチングボートたちにとっても、恵みのオルカ!!

彼らはオルカラボの前を通過したあと西へと進み、夜になってからアラートベイ沖を通過してさらに西へと進んで行ったようでした。


夕方近くになってディビッドとブリトニーが無事に洗濯と買い物を終えて帰ってきました。
ボートから荷物をおろしてひと段落。


そして今日はPちゃんがヘレナ直伝のレシピでパンを焼いてくれました〜!!
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もちろんこの島でホームベーカリーなんて使わないですよ!笑
生地から練ってまきストーブで焼き上げた完全なる手作り「ハンソン島ブレッド」です。
Pちゃんいわく慣れれば簡単だそうです。
買ってくるのは簡単だけど、焼きたてのパンに勝るものはなし!!

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星の美しい夜でした。
今夜もオルカたちのコールがわたしたちを起こす事はありませんでした。
2014-09-22 : オルカ : コメント : 0 :
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9月18日

朝7時に起きてびっくりしました。
今年オルカラボに来てはじめて夜中起きませんでした。
むしろ寝すぎた感でいっぱいです。おはようございます!


オルカたちがいなかったので本日は午前中にヘレナに頼まれていたカートメモリアルブックの中表紙の切り絵をつくりました。

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聞いた話によると、当時カートはバンクーバーの自宅でとても酔っていて、古くて腐りかけていた階段で足を滑らせたようでした。一緒にいた友人が救急車を呼んだのですが間に合わなかったようです。
7/3にハンソン島でセレモニーが行われ、親族を含めていろんな人たちが追悼に訪れました。
国境を越えてこよなく愛されていた、とても有名なオルカラボの専属大工さんであり、アーティストでした。
きのこのオブジェを作ってハンソン島のあちこちに植えるというお茶目なところがありました。
釣りが趣味で、現地の人は通常捨ててしまうイクラをわざわざビンにとっておいてよくわたしとPちゃんにプレゼントしてくれました。

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もし旧アシスタント、ツアーで島を訪れた人など日本の皆様でカートにメッセージを残したい方がいらしたら、わたしがメモリアルブックに代筆いたしますのでわたしとPちゃんが島を発つ日本時間9/24までに連絡ください。


お昼ころマイクがジューン・コーブ号でゲストの夫妻を迎えに来ました。
テレグラフコーブからレンタカーを運転し、そこから飛行機を乗り継いでテキサスまで帰るそうです。たいしたおもてなしもできなかったけど夫妻は滞在中とても喜んでくれて、島を離れる時は悲しそうでした。
ポールとヘレナにも会わせてあげたかった…また来てね!!


そんなこんなで今日はディビッドの誕生日〜!!
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ささやかですが5人でお祝いしました。
ディビッドの妻ブリトニーがケーキを焼いて、みんなでメッセージカードを書いて渡しました。
ハンソン島で誕生日を迎えられるなんて…やっぱりうらやましい!!


オルカのいない静かな夜でした。
雨の音と、トドたちの鳴き声と、ザトウクジラの呼吸音がブラックニー・パスに響き渡っていました。
2014-09-21 : オルカ : コメント : 0 :
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9月17日

午前0時45分。
コールで目覚めたわたしはガバッと起きて寝袋から飛び出しラボ内へ。
おはようございます!!

A30sとA42sはウェイントン・パスからジョンストン海峡入りしたようでした。
わたしはやる気満々だったのにオルカたちのテンションはそんなに高くはなく、コールは30分ちょっとで途絶えました。がっかり。


寝に戻って再びコールでガバッと起きたのは午前4時45分、もうすぐ朝じゃないの。
再びおはようございます!!

しかし5時からはPちゃんのシフトだったので、またわたしはちょこっとしか録音に入れませんでした。ゲスト夫妻が来ているので寝ずに働いているところをアピールする気まんまんだったのに拍子抜けです!笑


また寝袋に戻ったのですが、午前7時半すぎにPちゃんがわたしを起こしに来ました。
「ラビングビーチのカメラの操作をお願いします」


オルカたちがラビングビーチを訪れるのもすごく久しぶり。
Pちゃんが監視カメラ1を、わたしがカメラ2を操作し、ラビングを楽しむA42sの姿を録画しました。
とても美しかったです。
とはいっても監視カメラなので、オルカライブがNTTデータさんにサポートされていた「オルカライブ・プロジェクト」時代のものに比べると画質クオリティは下がってしまうんだけど、このカメラの映像も近い将来に配信できるときが来たらいいなあ〜。

ラビング後A30sとA42sはゆっくりと西へと進んで来て、CP前でちょこっとお食事をしていました。昨日と同じパターン。
そして午後12半ころオルカラボの前に現れました…。

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海面は穏やかで彼らの姿は美しかったです。

A38おじさんは最近いつもA42sと一緒に(特にA66君と!)泳いでいます。
このふた家族の中で男子が2頭だけというのもあるだろうけど、過去には母親をなくしたA51とA61を受け入れたり、今年はA46を受け入れたりと昔からいろんな群れに好かれるA42s(旧A8s)。
オルカたちにとって魅力的な何かがあるんでしょうか。


今日もゲスト夫妻と楽しいディナーの後。
ブリトニーとPちゃんとわたしは、ラボで「食べるもの」について語っていました。
ブリトニーは生き物を殺すのが嫌でしばらくビーガン生活をしていたそうです。魚は食べられないこともないけど命を奪う瞬間は見ていられないと言ってました。
ベジタリアンもビーガンも本人がそれで良いのならわたしは否定しないけど、でもひとつ幼いころの経験を話しました。

田舎で生まれ育ったわたしは園児のころみんなで芋掘りをしました。
大人に手伝ってもらってつるを引っ張ると、それまで土の中に住んでいたイモがぞろぞろとイモの家族ごと掘り出されて、わたしはイモがもう家に帰れないと思って泣きました。
すると大人たちが「イモは無駄に掘り出されたわけじゃないよ、食べてもらえたら幸せになれるんだよ」というので、お腹がいっぱいになっても頑張って残さず食べました。

「食べるという事はほかの動植物の生活や命をいただくことで、釣った魚を殺すときはつらいけどそれは食べる上で感じなければいけないつらさだと思う、そうすることで食べ物に感謝できるんだと思う」
そんな感じでいろんな話をしました。

都会のスーパーで食材のための買い物をしていたらつい忘れそうだけど、この島にいるといろんなことをあらためて考えさせられます。
ブリトニーがシフト中に宿題を済ませようとしているときにこんな話になったので
「宿題の邪魔してごめんね!」とわたしとPちゃんは言いましたが
「宿題よりずっとずっと価値のある雑談だったわ、真剣に語れる仲間が居て嬉しい。ありがとう」
とブリトニーは答えました。


午後9時半ころ、A30sとA42sはマルコム島沖から西へと向かっていったようでした。
すなわち、このエリアから去ろうとしていたのです…。
2014-09-20 : オルカ : コメント : 0 :
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9月16日

オルカラボ前に飛来するシノリガモの数が増えて来て…
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オスの羽の色が変わりはじめる季節になりました。
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今日は忙しい日になるのはわかってたんだけど、こんな日に限って久しぶりに夜通し鳴いてくれたA30sとA42sたち。0時をまわってラビングビーチ沖からロブソンバイトに戻って来ると、そこでしばらく美しいコールを響かせてくれました。
ボートノイズもそんなになかったし、例え夜通しだとしてもこんなの聞けるなら大歓迎ですよ!


明け方にPちゃんと交代して少し仮眠。
オルカたちは午前11時前にオルカラボの前を通過して北へ。

しかしゆっくり楽しむ事もできません。わたしたちは朝からかけずり回らなくてはならなかったのです。
クラウドファンディングでジューン・コーブ号のエンジンのために多額のお金でサポートしてくれた夫妻を、ポールとヘレナの不在時にアシスタントだけでお迎えするというとんでもない使命をさずかっていたのです!


昨日ディビッドとブリトニーが引き払ったゲストハウスをわたしとPちゃんで確認、足りないものを補充して日本人とヘレナしか気づかないであろう細かいところを掃除し、絨毯についたねこの毛を日本から持って来たコロコロで取り除き、匂いを少しでも取ろうとドアを解放して空気を入れ替えました。ねこ好きなのにアレルギーがあるわたしは鼻水をたらし泣きながら掃除しました…。
(その後ゲストが到着した時に彼らは7匹のねこを飼っていてねこの存在はむしろウェルカムなことが判明したのですが、どんな人物が来るかもわからなかったこの時はとにかく必死でした!!笑)


その後アラートベイに残されていたジューン・コーブ号でマイクがゲスト夫妻をハンソン島に連れて来てくれました。

ジーン&シンディ夫妻。
どんな人物かほとんど情報がなく、ただジューン・コーブのエンジンに多額のお金を払ってくれたということしかわからず、わたしたちは彼らが到着するまでガクブルだったのです。


何故このゲスト夫妻がポールとヘレナの留守中にも関わらずハンソン島に来たいのかわたしたちにはずっと謎だったので、もしもどこかのお金持ちの気まぐれだったらどうしようか、オルカラボに来れば必ずオルカが見られるというわけではないことを納得してもらえるのか?オルカたちは来てくれるのか?どうもてなしたら満足してもらえるのか?ディナー時の会話はどうしよう?
…みんな本当に心配していました。


でも到着したのはとても朗らかな夫妻で、話をきけばなんと2000年にオルカライブがスタートした時からの大ファンでずっと聞いてくれていたとのこと!!
しかもそれまで何度もこのエリアにさまざまなボートでオルカウオッチングに訪れていて、遠くから憧れのオルカラボを見たこともあったけれど上陸することは叶わないまま14年。


ずっとオルカライブファンだった夫妻はオルカに関する基礎知識もじゅうぶん備えていました。あちこち旅の経験がありホエールウオッチング体験も豊富なため、オルカの少ない9月にここでオルカを見ることを期待してわざわざ来たわけでもない。
ただ、オルカラボを訪れたかっただけだったんですね。

「長年の夢だったラボ内部を見る事ができて本当にうれしい!!」

と感激するジーン&シンディ夫妻の笑顔にわたしたちは心底救われた思いでした。



夫妻を交えたディナーの後、アシスタントのみでお茶を飲みながらそれまでの苦労をねぎらいました。みんなそれぞれに緊張してストレスを抱えていたのでゲスト夫妻の反応は本当にありがたかったです。やっと肩の荷がひとつおりた…。


夜、空を見上げると月が霧に包まれていました。
天気が少しずつ変わっていくのを感じました。

オルカたちの続報はなく、わたしたちはカマイルカのコールを聞きながらそれぞれ眠りにつきました。
2014-09-18 : オルカ : コメント : 0 :
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9月15日

小鳥たちの声で目がさめました。
おはようございます。
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9月のハンソン島は小鳥たちのパラダイスです!!
8月にいなくなるハチドリたちに変わってたくさんの小鳥たちがやってきます。
ウタスズメの歌で目覚めて、木々の間を飛ぶシジュウカラやキクイタダキさんたちに癒されて…もう何もかも素晴らしいです!!笑


本日のオルカたちの動き。
夜の間ジョンストン海峡のどこかで過ごしていたA30sとA42sは朝5時になってから鳴き始めました。そして久しぶりにラビングビーチも訪れていました。
ここんとこずっとブラックフィッシュ・サウンド生活だったから、ジョンストン海峡にオルカがいるっていうのはうれしいものですね。


ラビング後彼らは西へと戻って来て霧の中CPの前へ。
そしてブラックニー・パスに現れました。
おはようございます。


今日はわたしたちにとってとても忙しい日。
なぜなら明日からゲストが来るからです。
ポールとヘレナが留守だというのに、ジューン・コーブ号エンジンのクラウドファンディングでサポートしてくれた夫妻が島を訪れるというのです。
アシスタントたちだけでうまくおもてなしできるだろうか?
不安でいっぱいです…。


大変なのはディビッドとブリトニー夫妻。
彼らはそれまでゲストハウスを使っていたのですが、本物のゲストが来るとなると3日間はそこから移動しなきゃいけないのです。
全ての荷物と猫とうさぎを「アナの部屋(ポールとヘレナの娘が使っていた部屋)」に移動させて、ペットの毛など全てをお掃除して明日のゲストに備えました。
なんでこんなときにポールとヘレナ留守なんだろう…。


わたしはまた別にお仕事を授かっていました。
イギリスのサポート団体のために3分間のオルカラボ・ビデオクリップを編集してほしいと昨日ポールから連絡があったのです!!
3分とはいえど、2日の間に時間をみつけてハンソン島・オルカラボのハイライトを撮影・編集しろだなんて(iMovieの使い方もよくわかんないのに!)けっこう鬼だと思いましたが、それでも言われてしまったものはこなさなければなりません。
ぐすん。生きる。


そんなこんなで急ピッチで作成されたオルカラボビデオ2014スクリーンショット。オルカラボのでの生活のようすが3分間につまっております。

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帰国してまともなネット環境になったら日本の皆様用にもこの動画をアップロードできるかもしれませんが日本語キャプションで見たい人はいらっしゃいますかね?笑


午後7時ころまでブラックフィッシュ・サウンドにいたA30sとA42sでしたが、その後ウェイントン・パスを通過してジョンストン海峡入り。
8月末は狂ったようにオルカラボの前だけを通過していた彼らですがちょこっとずつウェイントンも使うようになってきましたね。
ジョンストン海峡入りしたのち彼らは東へと進み、ラビングビーチ沖までやってきたのです。
2014-09-17 : オルカ : コメント : 0 :
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9月14日

ここ最近A30sとA42sはずっとブラックフィッシュ・サウンドにいたので、もはや彼らの拠点がブラックフィッシュ・サウンドみたいに思えてきました。

なので朝いちばんにオルカたちが
「(ブラックフィッシュ・サウンドより北の)マルコム島・ベアポイントで目撃された」
という情報を聞いた時は

「ああもうシーズンは終わって、オルカたちは遠い北に出て行ってしまうのか…」

なあんて思っていたんですが、なんてことはなく彼らは移動範囲をちょこっとばかり広げただけでした。
午後になってから彼らはゆっくりとこちらの方に進んで来て、コールは16時くらいにFIの水中マイクから聞こえてきました。



今日はちょっとヒヤッとすることがありました…。
マップルームで録音データの整理にいそしんでいたら、Pちゃんがあがってきて
「ちょっとカモメの個体識別をしてもらえませんか」
というのです。


カモメなんてうにちゃんしか個体識別できないんだけど…と思いながらデッキに出て見ると、バーン・ポイント沖で泳いでいる1羽のカモメが見えました。
ちょっと遠かったけどスコープで確認、ワシカモメだ。
様子がおかしい…。

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(2枚とも Photo by "Pちゃん" こと小林桃子さん)


そのカモメは片足で泳いでいました。
もう片方は水面にずっとあげていました。
スコープのズームで確認したところ、水面にあげている方の足の水かきの右端あたりが赤く晴れているのがわかりました。そのカモメは片足で泳いだまま小さいカニを捕って食べたりしていたのですが、陸にあがって両足で立つのは困難そうでした。


指を折ってしまったのかな…?
真っ青になるわたしたち。
やがて怪我をしたカモメはウニをひとつ捕ったのですが陸に運ぶまでに海中に落とし、また苦労してひとつ捕って、片足でなんとか陸にあがって片足で食べようとしたところになんと若いカモメが現れました。
怪我したカモメは羽を広げて脅したのですが若いカモメは体当たりしてあっという間にウニを奪い、飛び去っていきました。



嘘でしょ…(゜Д゜)



ラボの中でシフトに入っていたディビッドがことの重大さに気づいてデッキに出てきました。
「あのカモメは『うにちゃん』かどうかわかる?」

わたしはとても焦りながら答えました。
「遠すぎてわからないから行動で察するしかないんだけど、あきらかにウニを捕っているよね…」


ラボ周辺にはワシカモメはちょこっとしか飛来しないのですが(たぶんうにちゃんが全て追い出している)、たまに見かける個体たちはヒトデやカニなどを食べていて、捕るのが難しいウニにはなかなか手を出さないのです。
でもうにちゃんはプロですのでとても効率よくウニを捕る事ができるため、他のワシカモメたちと逆で食事のメインがウニです。


鳥にとって足の怪我は致命的だ…とわたしは思ったけど、怪我の箇所が指なら痛みさえおさまれば生き延びられるかもしれない。
何とか前向きに前向きに…と考えようとしたけど目の前で若いカモメに敗北しウニを奪われる瞬間を見た後では不安な考えが頭をよぎるばかりです。


そしてわたしたちが出した結論はこうでした。
「このことはヨーロッパに行っているポールとヘレナには黙っていよう!」







そして2時間ほどたった後、オルカラボ前。


…あれ?
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まるで何事もなかったかのように両足で泳ぐカモメのうにちゃんがラボのすぐ前に出現しました!!秋に入って少し頭の羽にグレーが混じり始めているけど、それでもこの距離ならわたしたちには間違えようがありません。


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陸上でも問題なく両足で立ってる!!


そういえば怪我してたカモメさんは首がのびた時にちょこっとうにちゃんより細く見えたんです。ひと晩でやせ細ったのかと思って心配したんだけど。
そしていくら怪我をしていたとはいえ、うにちゃんが若いカモメにウニを奪われるなんて信じられませんでした。ウニの捕り方も雑だったし、食べようとする時もくちばしでささっと割るのではなく何度も岩に落としていたり…(だから若いカモメに奪われた)



でもなんていうか、なんていうか



怪我をしたカモメが存在することは確かなわけで、何とか生きてほしいという気持ちはありながらもわたしたちは「うにちゃんが無事で良かったー!!」という気持ちでいっぱいで、知ってる動物が無事であればよいという自分勝手なその気持ちに罪悪感を抱いたり、でもやっぱり安心したりで大変でした。



何よりポールとヘレナに隠し事をしないで済んだのは良かった…。



怪我カモメさんのその後を見る事はありませんでした。
個人的にも気になるのでまた目撃したら勝手に報告致します。




オルカたちはディナータイムに再びコールをはじめ、暗くなってからオルカラボの前に現れました。
魔法のメガネをかけているPちゃんと、自称「キャットビジョン」を備えているブリトニーだけがその姿を目撃することができました。
もちろん鳥目のわたしにはブローの音しか聞こえませんでしたが、それでもブラックニー・パスにオルカの存在を感じられるのはしあわせでした。


A30sとA42sは久しぶりにジョンストン海峡へと入り、東へと進んでゆきました。
2014-09-17 : オルカ : コメント : 0 :
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9月13日

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あまりにも美しい本日の朝焼け。
おはようございます。


雨がずっと降っていないため水が本当になくなってきました!
朝からPちゃんは「ガーデンホースに休暇を与えようと思います」と言って、水やりはバケツにたまった水で行って、ガーデン用の水源を閉じていました。

蛇口から出て来る水の量もあきらかに減ってきました。
わたしたちの水源はとっても小さな川なので、もしポールとヘレナの留守中に干上がったらと…思うと背筋が凍ります。レインプリーズ。


本日もA30sとA42sはブラックフィッシュ・サウンド北部で1日を過ごしていました!コールも時折聞こえるのみで、姿を見ることはありませんでした。
どこかに行ってしまっているわけではないからいいんだけどあんまり動かないのねえ。オルカラボ前に来てくれないのは寂しいです。


オルカラボ前ではトドさんがタコさんを食していらっしゃいました。
あまりにもぶんぶん振り回すので見ていてなんだか怖かったです。
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トドさんも巨大なんだけどタコさんも巨大に見えました。
やっぱりちょっと怖い。
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ラボカメラをオンにしようとしたとたん潜ってしまわれました。
次は頑張ります!!

以前にも書いたかもしれませんがオルカラボカメラは現在のこちらのシステム上オルカライブのページとは別になっています。
オルカラボカメラ→http://orcalab.click2stream.com

日中は常に中継できているわけでもなく、ラボ前にオルカが通過するときやその他美しい光景の時のみカメラをオンにして中継しています。
カメラオンの告知はツイッター(@Orcalab_JPN)やオルカライブコメント、またドネーションプログラムオルカラボ100のFacebookページ(ドネーション参加者のみ)にて行っていますのでチェックしてみてください。



ずっと北のFIの水中マイクのエリアをうろうろしていたA30sは、午後9時ころになってからちょっとだけオルカラボの方へとやってきました。
すっかり暗くなっており、まだ月の昇らない空は星でいっぱいでした。
オルカラボの前は久しぶりに彼らの呼吸音で包まれました。
波はほとんどなく全ての音はクリアで、海峡中に響いていました。


ラボ向かいまでやってきたのち、オルカたちは方向を変えてすごいスピードで北へと戻っていきました。
2014-09-15 : オルカ : コメント : 0 :
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9月12日

とても穏やかな日でした。
オルカたち(A30sとA42s)はずっとブラックフィッシュ・サウンドにいて、オルカラボの前に姿を見せる事はなく時おり鳴き声が聞こえるのみでした。


今日もラボ前で踊るトドさん。
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食料がつきそうになってきたので、本日はアシスタントたちのみでのタウンラン!!ボートの免許があるディビッドとチェルシーがオルカラボに残された「カー号」を運転してアラートベイに買い出しに行ってくれました。


わたしとPちゃんは「オルカたちがいない間に」と、たまっていたオルカたちの移動マップ作成などに追われていたのでディナーはブリトニーが生地からピザを作ってくれました。
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ブリトニーは家庭的。まだそんなにまきストーブに慣れていないとはいえ果敢に何でも挑戦してくれています。この調子なら5人でポールとヘレナが帰ってくるまで生き延びられるかな?



星の美しい夜でした。
オルカたちのコールがないのになんだかしっかり眠れなかったわたしは、明け方近くにラボのデッキに出てみました。淡い色になって来た空にオリオン座がきらめいていました。
2014-09-15 : オルカ : コメント : 0 :
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9月11日

午前4時42分、FIの水中マイクからコールが聞こえてきました。
昨日とほとんど同じ時間ですね。
おはようございます!!


午前5時すぎ、またしてもいったんオルカラボ前に現れようとした彼らでしたが今回も方向を変えて北へと戻っていったのでした。なんで〜!!



そんなこんなでお昼どき。
雨が降らなくて森が乾いてきました。
ヘレナの大事なガーデンも乾いてきました。
そろそろ雨乞いをしなきゃならないかな〜


Pちゃんとそんな話をしながらランチを食べていたら、シフトに入っていたディビッドからトランシーバーで連絡がありました。
「オルカたちがブラックニー・パスに現れたよ」


走ってラボへ。
いつものメンバーA30sとA42sです。しかし…




強い波の中、オルカたちがサーフィンしてる!!
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大きなおじさん、A38も!!
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アクティブなA5ポッドがサーフィンをするのは珍しくないのですが、A30sまでもがこんなに楽しんでいるのは初めて見ました!!ずっとA42sと一緒にいたからノリがうつってきたのかな?笑


昨日の夜から何度も何度もラボ前に来ようとして来なくてようやく現れたA30sとA42s。せっかく来たのにサーフィンしていたこともあって、ものすごいスピードでジョンストン海峡へと消えてゆきました。


ジョンストン海峡へ入った彼らはCP前で少し食事をして、西へと進みました。
そして珍しくウェイントン・パスを通過して北へと出ました。
21時ころにはオルカたちのコールも途絶え、海はカマイルカたちのコールが聞こえるのみとなったのです。
2014-09-14 : オルカ : コメント : 0 :
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9月10日

午前0時~午前4時の間だと思います。
A30sとA42sはわたしたちが気づかない間にこっそりジョンストン海峡入り。
午前5時まえに鳴き始め、午前7時前にオルカラボの前に現れました。
遠くて逆光だったけど、朝の光の中彼らのシルエットは美しかったです。


その後彼らは夕方までの時間をブラックフィッシュ・サウンドのちょっと北、マルコム島のドネガル・ヘッドからスワンソン島のボールド・ヘッドのあたりで過ごしていました。
いつもは秋鮭の動きにあわせてCP沖で何時間も過ごしているものだけど、ここ数日はブラックフィッシュ・サウンド周辺のほうが魚が捕りやすくなっているのかな?


A30sとA42sは午後6時前にオルカラボの前に現れました。

背びれと尾びれ。なんか楽しそう
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完全に「魚捕りモード」だったA30sとA42sはしばらくブラックニー・パス、向こう岸側でうろうろしたあと北へと戻っていきました。


みんなはディナーを食べにいったけどわたしはひとりラボに残りました。
素晴らしいコールでした。
この鳴き声を聞くためにここに来続けているんだ。と強く思いました。


オルカたちのコールにはいろんな情報がいっぱいつまっています。
どこにいるのか。
どちらへ向かっているのか。
誰であるか。
誰と一緒にいるのか。
興奮しているか、リラックスしているか。
もちろんわたしたち人間はコールにつまっている膨大な情報のうちのほんのちょこっとしか理解できてないんだけど、ずっとこの調査を続けていれば今よりもわかるようになるかもしれない。
人間とシャチが、そして自然がお互いにバランスをとって生きていくためのヒントがわかるようになるかもしれない。

とっても面白い!!


わたしはこの興奮を誰かと共有したかったけど、みんなはメインハウスでディナーを食べていたし、最も共有したいポールとヘレナはハンソン島にはいませんでした。
でも頑張る。ふたりが帰ってくるまで頑張る。
ポールとヘレナの帰宅まであと13日。


いったん途切れたコールは午後10時ころに再びFIの水中マイクから聞こえ始めました。
オルカたちは夕方と同じようにいったんオルカラボ前に来ようとしましたが、日付が変わる前に北へと戻ってゆきました。
2014-09-14 : オルカ : コメント : 0 :
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9月9日

捕れたてのウニを巣へ運ぶ、ずぶぬれのミンク母さん。
3匹の子どもを育てています。
口は痛くないの?
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今期始まって以来びっくりするくらいオルカたちに動きのない日でした。
なんてったってFIの水中マイクのエリアで13時間魚を捕りながら鳴き続けたんですから!

この時期に入るとオルカたちは仲間との交流よりも「鮭」のほうに夢中になるんです。興奮したコールがずっと聞こえていて、ウオッチングボート同士の無線連絡でも「同じ場所をずっとうろうろしている」とのレポートばかりでした。ラボカメラの方に来そうな瞬間も何度もあったけど結局は来ませんでした。

でも魚を食べているというのはオルカたちにとって非常に重要なことなのでカメラ前に来なくても責められないですね☆近年痩せたオルカたちを見続けていたわたしたちにとってはやっぱり「食べている」という無線情報はホッとします。
コールもしあわせそうだったし。



着水するシノリガモ4羽
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またしても美しい月明かりの夜でした。
ブラックニー・パス沖ではザトウクジラが身体を宙に躍らせる音が何度も何度も、繰り返し聞こえていました。
2014-09-13 : 未分類 : コメント : 0 :
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9月8日

おはよう。
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ポールとヘレナが留守のオルカラボです。
今日はPちゃんとふたりでキャンプキッチンの撤収をしました!
これからもっともっと寒くなって、野外で食事をとったり海でお皿を洗ったりするのはかなり厳しくなるので片付けなさいとヘレナに言われていたのでした。

いつもは撤収後ゲストハウスで朝昼食べるんだけど、今年はディビッド&ブリトニー夫妻がゲストハウスを使っているのでわたしたちはメインハウスのヘレナのキッチンを使って良いことになりました。
使って良いと言われていても戸惑いでいっぱいです。
メインハウスのキッチンはわたしたちには贅沢すぎます。


今日のA30sとA42sは早朝をロブソンバイト沖で過ごし、いったん東に進んだあと午前9時ころ水中マイクのエリアに帰って来て、お昼から午後にかけてCP前でいつものように食事をとっていました。

午後4時前に冷たい風の中、向こう岸沿いにオルカラボ前に現れて北へ…。



本日のディナーは昨日ラボ前に住むあざらしに貰った(昨日9/7の記事参照)サーモンでした!
メープルシロップとブラウンシュガーのスペシャルソースにひと晩漬け込んでいたので表面が照り焼き状になっていてびっくりするくらい美味しかったです。
あざらしさんありがとう!!

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午後21時16分、コールも途絶えました。
わたしたちはまた静かな夜を過ごす事となりました。
「昨日に比べたらあんまりエキサイティングな日じゃなかったね」
とディビッドが言いました。
9月だから少しずつ忙しさが減っていくのはわかっているんだけど、やっぱり寂しいものだなあ…。


満月の夜でした。
バスハウスで歯磨きを終えてラボのそれぞれの寝室に戻ろうとしていたわたしとPちゃんは、ザトウクジラのブローが近く聞こえたのでデッキに出てみました。


月の光がブラックニー・パスを照らし出していました。
ザトウクジラのブローはけっこう近かったのでわたしたちはなかなか寝に行く事ができず「次は目の前にあがってくれたら満足して寝られるんだけどなあ」なんて言ったりしていました。



次の瞬間です。
ブホオオオオオオオオオオッ



月の落とした光の中、ものすごい呼吸音と共にほんの15メートル沖にザトウクジラの親子の姿が浮かび上がったのです!!


「この世にこれ以上のことってあるのかな?」とわたしは言いました。
「昨日に比べたらエキサイティングじゃないってデイビッドが言ってたけど全然エキサイティングですね!笑」とPちゃんが言いました。


月は美しくブラックニー・パスを照らし出していました。
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2014-09-13 : オルカ : コメント : 0 :
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9月7日

夜中に何度か起きたけどカマイルカのコールがほんの少し聞こえるのみで、オルカのコールは聞こえませんでした。午前7時半起床、こんなの初めて!!
おはようございます~!!


わたしたちは朝から忙しくバタバタと走り回っていました。
なんと今日からポールとヘレナが2週間以上もオルカラボを留守にするのです。IWCのためヨーロッパに出かけてしまうのです。
そして帰ってくるのはわたしとPちゃんが帰国する前日という悲しいスケジュールです。わたしたちはこのスケジュールを知らないまま帰国便が変更できない格安チケットを取ってしまったので、ポールとヘレナからこのことを聞いた時はとてもショックでした。

だけどポールとヘレナがいなくても仕事は続きますし、わたしたちアシスタントだけでこの島で生き延びなければなりません。


A30sとA42sは朝になってから東から戻って来てCP前でしばらく魚を捕っていました。
メインハウスでヘレナから留守の間の諸々の説明を受けていたわたしたちは、メインハウスのスピーカーからコールを聞いてラボに走りました。
一歩先にラボに入ったPちゃんがヘッドフォンをつけたので、わたしは横に座ってCPの監視カメラを起動させようとしていました。「A30sとA42sはまたいつものように数時間CP前で過ごすんだろうなあ」と思い始めたそのとき、Pちゃんがこう言ったのです。
「FIの水中マイクからコールが聞こえます」



コールの主はなんとビッグス・トランジェントでした!!
どこかしら悲しげな響きのコール、でもトランジェントが鳴くのは狩りに成功しお腹がいっぱいになった瞬間だけという場合が多いので最初は「すぐに止むだろう」と思っていたのです。
しかしそのオルカは鳴き続けました。


そして午後12時1頭のオスがすごいスピードで北からオルカラボの前に現れました。


ポールとヘレナの出発によりバタバタしていたためその時誰もオルカラボのデッキにはおらず、個体識別作業に入ったのは急いでラボから出たわたしひとりでした。
息継ぎが少なく長時間潜っていられるトランジェント。
そのオルカの姿を追うのは困難でオルカラボの監視カメラを起動させる(2分かかります!)時間や写真を撮る時間はおろか個体識別すらも難しい状態で、ジョンストン海峡へ消える直前にようやく一瞬だけスコープで確認できたのみでした。
「背びれのトップがシャープで、オス1頭か…」


ビッグスのIDブックを開く時間もなくポールとヘレナ出発のときが来ました!
わたしたちは全員、船着き場がわりの岩に集まってポールとヘレナに「気をつけて行って来てね!」とハグを交わし、ブラックフィッシュ・サウンドに消えてゆくジューン・コーブ号を見送りました。
とってもさみしい(´ノω;`)


そのときです。
ジョンストン海峡からまたビッグスのオスが戻って来たのです!!


わたしたちは全員見送りの岩の上にいて、またしても準備ができていない。
でもまた個体識別もできないまま消え去られるのはごめんだとわたしはラボに走りました。現在の自分のカメラでは個体識別できるような写真がとれないのはわかっていたので、ポールの400ミリレンズのカメラを借りて何とか2枚だけ写真を撮りました(なので載せられませんが…)。しかしニコンとキャノンってまるで違うのね!!初めて触ったけど焦っていたから最初は電源がどこかすらわかりませんでした…。


後ほどその写真を確認したデイビットがこう言いました。
「左側のサドルパッチに野球の球みたいな傷があるね」


というわけでたった1頭のビッグスの正体はT12Aくん!!
お母さんを亡くしてひとりぼっちで旅をしている、孤独を背負ったオスでございます。野球マンということでわたしたちの脳裏に強く刻み込まれました。


どうしたことか彼は鳴き続けていました。
北に消えてもまた鳴き続けていました。
そして再びオルカラボの前を通過すると、凄いスピードでA30sとA42のいるジョンストン海峡に消えていきました。


しばらくしてただの釣りのおじさんと思われる男性がホエールウオッチングボートのルクワに無線連絡をしているのが聞こえました(オルカたちの情報交換チャンネルは無線機があれば誰でも聞けるし誰でも話せるのです)。

釣りのおじさんはとても心配していました。
「オルカたちの群れがそちらのCP前にいるようだが、かわいそうなオルカがひとりぼっちでどんどん東へ行こうとしているんだ。群れからはぐれたのかもしれない。大丈夫なのかわからなくて連絡した」


おじさん心配ありがとう!笑
T12Aくんは無事にレジデント軍団A30sとA42sの包囲網をくぐり抜け東へと向かったようでした。そしてまだ鳴いていました…何があったのかな?
最初にコールを聞いた時から実に5時間半が経過していました。トランジェントのオルカがこのように長時間鳴き続けるのはとてもとても珍しいことなんです。



「ともちゃん」
背後から声をかけられて振り向いたわたしはびっくり。
友達のマナちゃんご一行がラボを訪れてくれました!!

マナちゃんは「ハンソン島の仙人」ウォーラスの長女で、つまりアキフミくんのお姉さん。
もう結婚しているのですが今回は娘も連れて来ていました。
かなりご無沙汰だったから嬉しかった!!


んでご一行をラボに招き入れて、ディビッドが英語で男性陣にラボの説明をしてくれて…とそのとき、わたしの目に背びれが飛び込んできました。
「オルカ!!」



A30sとA42sが素晴らしいタイミングでブラックニー・パスに登場してくれました。
なにせウォーラスのキャンプは海岸から離れた森の中程にあるので、その界隈の人たちはハンソン島にいてもなかなかオルカが見られないんです。
それが、ちょうどラボの説明をしているときに16頭ひと塊となって通ってくれたんですから!!



ところが奇跡はそれだけで終わりませんでした。
わたしはラボ内でレコーディング、ディビッドはパソコンで監視カメラの操作、後の人たちはみんなデッキに出ていたのですが何やら騒々しい…

念のためにヘッドフォンを置いてデッキに出てみると、Pちゃんがこう言いました。
「わたしたち鮭を授かったみたいです」
「は?」
「あざらしから逃げようとした鮭が跳ねて、ラボ前の岩の上に落ちて来たんです今」


デッキ下の海岸を見るとそこにはとても冷静な表情で鮭の頭をつかんで棒でボッコボコに打ちのめしている新人アシスタント、チェルシーの姿が…!!



打ちのめした後。
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(※実はチェルシーの本業はカナダの釣りガイドさんです。笑)



目撃者たちの証言によるとあざらしは2匹の鮭を追いかけていて、1匹は捕えられ1匹は跳ねて逃げたもののラボ前の岩の上に着地したと。
それでディビッドの妻ブリトニーが言いました。
「まだ生きてるわ、海に帰しましょう」
するとチェルシーはこう返したそうです。
「何をバカなことを言ってるの?私たちが食べるのよ」


さすが本業、チェルシーの包丁さばきは素早く美しく、A30sとA42sがまだオルカラボの前を通過しきらないうちに鮭(ピンクサーモン)は3枚におろされました。
すごい勢いでシャープな岩の上に落下したからたぶん海に帰しても生きる事ができなかったであろう鮭は、チェルシーが素早く命を絶って処理したおかげで苦しんだ時間も少なかったはずです。

半身はこの運をもたらしてくれたマナちゃんたちにあげました。
残った半身はメープルシロップとブラウンシュガーの入ったスペシャルソースに漬けこんで、わたしたちの明日のディナーに。頂いた命はムダにしないからね!



ところがこれで終わりではなかったのです!!
マナちゃんたちとバイバイしてラボ内に戻ると、すぐにPちゃんがわたしを呼びに来ました。
「ザトウクジラが私たちの入り江に入ってきました!」


ひょえええええええええ
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まだ帰っていなかったマナちゃんが言いました。
「ねえ、なんで?笑」

わたしは言いました。
「わかんないよ、だって今まで16年間ここで過ごして来ていちどもザトウクジラがこのちっさい入り江に入ってくるの見たことないもの!!」
ディビッドも続けました。
「そもそもこの入り江はザトウが問題なく泳ぐのに十分な深さはないんじゃないか?お腹がこすれてないといいけど」


わたしたちは急いでオルカライブのカメラを起動させたのですが、カメラが起動できた2分後にはザトウはもう入り江から出てしまっていました。それでも数回尾びれを映せたから良かった。

なんだかんだ盛りだくさんの日だなあ…




ディナーは各自それぞれ食べるのかと思っていたら、午後シフトのないブリトニーとチェルシーがふたりで全員分を作ってくれていました。
ポールとヘレナがいないのはかなりの違和感だったけど、5人仲良くテーブルについてディナーを食べました。


わたしたちはいつのまにか「ポール・スポング」という人がどんなに凄いかについて語り合っていました。
75歳にもなってまだアンテナ・メンテナンスのため命綱もつけない木登りや水中マイクの管理のため冷たい海にダイビングするポール。
インターネットが普及する20年も前に「この光景を世界中の人とシェアしたい」というビジョンを持って、衛星テレビのための人工衛星を打ち上げる事ができないか模索していたポール。
とても情熱的で、まっすぐで、感情表現が豊かで、ちょっとおっちょこちょいなところもあるけれど、多くの人の心をつかんで放さないポール。

「もしこの先ポールとヘレナが引退してどこかの研究者がオルカラボを継ぐということがあっても、スポンサーやドネーションはきっと同じようにはいかないよね。多くのスポンサーはオルカの調査のためだけに支援しているわけではなく、ポール・スポングという人間に惚れ込んで支援しているんだから」

わたしたちはオルカラボのアシスタントになれて本当に幸せだと思いました。


しばらく途切れていたコールは23時くらいになって再開しました。
北から戻って来たA30sとA42sはオルカラボの方に近づいてきていました。
2014-09-10 : オルカ : コメント : 2 :
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9月6日

午前0時。
オルカたちはラビングビーチ沖から西へと戻って来ていました。

午前2時に4~5頭のブローがオルカラボの前に登場。
午前2時半に10頭くらいのブローがオルカラボの前に登場。
北へと消えてゆきました。もちろんA30sとA42sですね、このコンボがすっかり定着しております。


その後A30sはしばらく水中マイクのエリアに戻って来なかったのですが、素敵な殺し屋ビッグスのT55sが午前7時すぎに突然オルカラボの前に現れてわたしたちをびっくりさせてくれました!
いったん北へ消えたと思ったら2時間後にまた向こう岸沿いにオルカラボの前に現れてジョンストン海峡に消え、そのまた1時間後にもう一度ちらっとブラックニー・パスを覗いてから再びジョンストン海峡へと消えてゆきました。


今日は遊びに来ていたポールの孫とひ孫ちゃんが島を出る日!
ひ孫のインディ(2歳)は島を離れると聞いたとたんビエエエエエ~!と大泣きでした。ボートが去るときもずっと船の上から泣いている彼女の声が聞こえていました。

ブラックニー・パス沖では興奮したザトウクジラがしっぽを海上にあげて何度も振っていました。インディのお母さんハナが「ほら、ザトウクジラがバイバイしているわよ」と説明していました。


ちっさい子どもにとってハンソン島はワンダーランドです!
「ハンソン島で何を見た?」というわたしたちの問いに答えて「トドと、オルカの家族と、ザトウクジラと、そして、なめくじ~!!」となめくじの時だけ右手で大きく空を仰いだインディちゃん。

15センチもある巨大なめくじバナナスラッグはインディちゃんにとってとっても印象的だったみたいです。またいろんな生き物とひいじいちゃんに会いに来てね!!




午後にシフトに入っていると、とても興奮した様子のPちゃんがラボに飛び込んできました。



「に、に、錦織が勝ちました~!!」



どうやらPちゃんはヘレナと一緒にメインハウスでUSオープン中継に集中していたらしいのです!!
時にはオルカと同じくらいワールドテニスが重要視されているオルカラボ。
スポーツといえば野球しか知らないわたしも今日試合があるのはPちゃんから聞いていたのですが、まさか日本人がUSオープンのファイナルに出られるとは夢にも思っていなかったのでその時に初めて鳥肌が立ちました!!


日本のスポーツニュースをとっても見たかったけどわたしたちは孤島の上。オルカラボでの仕事ではインターネットを使っても構わないのですが、データ容量に制限があるため個人的なネット使用は控えるように言われているわたしたち(わたしに至っては阪神の順位すら知らないのです!)は「さぞ日本は盛りあがっているだろうなあ」と想いを馳せるのみ、でも夜のディナー時はポールに頼んでふたりともビールをもらい乾杯しました!!笑



あ、そうそうオルカたち。
実はわたしたちは午後2時半から「A30sとA42sが北のブラックフィッシュ・サウンドをオルカラボの方へと向かっている」という無線レポートを受け取り続けていたのですが、彼らはあんまり泳いでいなかったようで、オルカラボの前に来たのはなんと暗くなった午後8時半を過ぎてからのことでした…。

A30sとA42sは東へと進み日付が変わる前にラビングビーチ沖へ。
そして東へと消えていったのです。
2014-09-10 : オルカ : コメント : 0 :
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9月5日

午前0時。
A30sとA42sは東へと進みその後しばらくしてラビングビーチに到着。
入れ違いに東から出て来たのはA23sとA25s。
この群れはなんか最近、東を拠点としています。水中マイクのエリアに出て来てもすぐに東に帰っちゃうし。


というわけで今夜のA30sとA42sはノンストップでした。
ラビングビーチに到着後しばらく沖で時間を過ごしていたのですがターンして西へ。
午前4時をまわったところでロブソンバイトにまで戻り、午前7時51分オルカラボの前に現れました。
ここ最近オルカラボ前をオルカが通過しない日なんてあったっけ?


北でしばらくの時間を過ごしたA30sとA42sはすっかりお疲れ。
オルカラボの前にいったん現れたものの、潮の流れに逆らう事ができずに北へと流し戻されていきました。

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本日はオルカたちの行動を追うほかに新人アシスタントの教育もしなければなりませんでした!
また来てすぐだけど、そもそも滞在期間が2ヶ月くらいしかないのだから1日も早く仕事を憶えてもらわないとまともなデータをとることができません。
毎シーズンずっと同じ人が来てくれるといいんだけど、ボランティアワークなのでなかなかそういうわけにもいかず…。

わたしも今年はクラウドファンディングでたくさんの人の支援を得てここに来ることができたけど、ほんとうに毎年資金に苦労しました。
オルカラボに毎年来るから定職にもつけずバイト生活なのに、日本での生活にかかるお金以外に毎年カナダへの渡航費と2ヶ月ぶんの滞在費を稼がなきゃならなかったので。
だから他のアシスタントにも無理して毎年来いなんてとても言えないのです。

だけどそれでも再会できる人が多いのだからここはやっぱり魅力的な場所なんでしょう。



午後8時前に北からオルカたちが戻って来きました。
はいディナータイム。



みんな自分のお皿を持ってラボに走りました。
夕暮れ時のオルカたちはとても美しかったです。

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20時すぎからはザトウクジラも鳴き始めました。
ほんと9月だな~。


A30sとA42sは東へと進み、日付が変わるまえにラビングビーチ沖まで来たのでした。
2014-09-09 : オルカ : コメント : 0 :
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9月4日

午前4時20分、オルカたちのコールは昨日消えた場所と同じ、CP/ブラックニー・パスの入口あたりから。午前4時まで眠れればかなりマシな方ですね。
おはようございます!!


それから東に進みラビングビーチに立ち寄ってから西へ戻って来たA30sとA42s。
今期はこの2家族が「いつものオルカさんたち」ですね。
いつものようにCP前でのお食事を楽しんだ後、午後になってからA30sがオルカラボ前に現れました。
ちょうどランチをとろうとしていたわたしとPちゃんは出した食材を食料庫に突っ込んでラボに走りました。


オルカたちは向こう岸ぞいを通っていたしかなり広がっていたので、小さい背びれたちの数を数えるのは困難でした。彼らが北に消えてしまってから中で監視カメラ操作をしていたディビッドは言いました。
「誰かA38(ブラックニーさん)見た?カメラでは捉えられなかったんだけど」

わたくし「みんな向こう岸ぞいだったし広がってたし見逃したのかも。わたしは見てない…」
デイビッド「あんな大きな背びれを見逃すことってあるかな?いないとしたらちょっと心配だよね」


もやもやした気持ちのままキャンプキッチンに戻ったわたくしとPちゃん。
食料を出そうとしたとたんに手元のトランシーバーからラボにいるディビッドの声が聞こえてきました。
「また2頭ラボ前に現れたよ」


ああ…と思いながら再び食料を片付けてラボに走るわたくしたち。
そこにはさっき誰も確認できなかったA38(ブラックニーさん)とA42sのA66(サーフくん)の姿が。今日は男子でつるんでいたんですね。

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美しいスリットサドル(サドルパッチの形のひとつ)が印象的なサーフくん!
ずっとA30sと一緒にいるのですが、最近はA30sのちっさい子どもたちの中の1頭と一緒に泳いでいる事があり「その子どもはオスなのではないか」と考えられています。
例えばよその家族と一緒に泳いでいて、オス同士は年が多少離れててもつるむことが多いのですが、メスの子どもはお母さんのそばを離れてよそのお兄ちゃんと泳ぐなんてことはほとんどありませんからね。
ちなみにメスは集団行動がお好きなようで。



2頭が行ってしまって、ここでまたひとつの疑問が。
「残りのA42sはどこ?」


最初にメス軍団が通過したときはほとんど数を数えられる状況じゃなかったので、わたしたちの中では「メスだけ先に行ったんじゃない?」という結論に達し、再びラボをディビッドに任せてキャンプキッチンへ。
サンドイッチをキャンプ用のホットサンドメーカーにセットしたとたん、三たびトランシーバーからディビッドの声が!!
「またオルカたちがラボ前に来たよ」


絶望を感じながらラボに走りました。
でも今回はもうサンドイッチをセットしてあったしPちゃんもインスタントラーメンを作りかけていたので、Pちゃんが「私が焼いて運ぶので先にラボに行っててください!」と言ってくれてわたしはひとりでラボのデッキに走りました。
ポールとヘレナも苦笑いしながらメインハウスからデッキにやってきました。
「もうランチを食べる事は不可能なのかな?笑」


スコープでオルカたちを確認、まぎれもなく残りのA42s。
A30sメス軍団、A38とA66、そしてA42sメス軍団。
全くもっていつものオルカたちでした。
でもなぜひと組ずつ来るんだ…


最初にランチを食べようとしてから2時間が経過していました。
でもこの日は最終的に食べられたから良かった。


A30sとA42sはその後夕暮れ時までブラックフィッシュ・サウンドで時間を過ごし、暗くなりかけて視界が悪くなってからオルカラボ前を通過してジョンストン海峡に戻りました。
そして東へ向かっていったのです。つづく
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9月3日

午前2時12分。
夢であってほしいと思いながらわたしは目覚め、コールが聞こえるのが現実であることに絶望しながら階下のラボへと向かいました。そしてコールがどこから聞こえて来ているかを確認してまた絶望しました。
トランシーバーをつかむ手も震えます…。


わたし「ヘレナ、コールズオンLL…」
ヘレナ無回答。

わたし「コールズオンLL…」
またも無回答。

わたし「コールズオンLL…」
ヘレナ「ごめんなさい、枕元のトランシーバーを探すのに手間取ってたわ。コールはどこから?」
わたし「ローカルレフトです。オルカたちがラボの前にいるみたい」





おはようございます!!





わたしの予想は大正解、I33sを北へと見送ったA30sとA42sはオルカラボの前を通過して真っ暗闇のジョンストン海峡へと入りました。
ラビングビーチまで進み、明け方に西へとターンして11時にオルカラボ前に登場。
やっぱり今年のオルカたちはブラックニー・パスがお好きなようで。


昨日アラートベイの家で足止めをくらったゲスト&アシスタントたち、そしてポールがようやくハンソン島に来ました!ゲストはポールの孫とひ孫、孫の友達ふたり。アシスタントはデイビッド&ブリトニー夫妻(と猫とうさぎ)、そして新人のチェルシーです。

デイビッドは2008年にもラボのアシスタント経験があり「アラスカの熊」と呼ばれていた背の高いチャーミングな男子です!今回は若い妻ブリトニーを連れて来て、ポールとヘレナがアラートベイに移る冬の間じゅうオルカラボのケアテイカーとして働いてくれるそうなのです。やったね!


みんなが到着してすぐ北からA30sとA42sが戻ってきました。
ゲストが来たのでオルカラボ寄りを通過するという大サービスでございます。

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写真左手前のオス、1971年生まれのA38「ブラックニー」はオスとしてはかなりの長生きさんです。
先日、病気で行方不明になったA37より年をとっているはずなんだけど、とても健康そうに見えます。
わたしたちはオルカの泳ぎ方や頭部の脂肪の付き具合である程度の健康状態を判断しているのですが、パンパンに脂肪がついているのがわかるし(ここ数年のオルカたちはサーモンの減少により痩せ気味だったのでこれはすごいことです)何より活発です!!



母親や男兄弟を亡くしたオスは自分の居場所をなくしがちで死に至る事も多い悲しいレジデントなんですが、ブラックニーさんは妹2頭とその子どもたちの絆が強いようで、家族の中でもしっかりと自分の居場所を確保しているようです。母親を亡くしたときどうなるかは、やっぱりその個体の性格によるみたいです。


A30sとA42sはジョンストン海峡に入り東のラビングビーチまで進んで、東から戻って来たA23s/A25sと合流。西へと方向を変えてブラックニー・パスの入口あたりでコールは途絶えたのでした。
2014-09-08 : オルカ : コメント : 0 :
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9月2日

午前0時、A30sと全てのA5ポッド(A42s、A23sとA25s)そして北で彼らと合流していたI33sはロブソンバイト~ラビングビーチのエリアに広がっていました。
メイングループはそのまま東へと進んだものの、A23sとA25sだけがターンして午前9時半ころにはジョンストン海峡西にいました。
今期はなんかA23sとA25sが自由気ままな独立グループになっています。
それまではA42s(A8s)のほうがその傾向が強かったんだけど、今年はなぜかA42sはA30sとまるでひとつの家族みたいに泳ぎ、がっつり友情を育んでおります。


本日は雨。
泣いても笑っても雨、そして強風。


ポールはアラートベイに本日来る予定の人々を迎えに行きました。
●ポールの孫ハナ、ひ孫インディ(2歳)、ハナの友人2名
●これから冬を通して滞在予定のデイビッド(2008アシスタント、アラスカ出身)&ブリトニー夫婦と、その飼い猫とうさぎ
●新人アシスタントのチェルシー

合計7名が来る予定だったのですが…



ポールがハンソン島を発ってからというもの風はみるみる強くなり、海は時化の状態に。
しばらくしてからヘレナの携帯に連絡がありました。
「とてもじゃないけれどあと7人乗せてこの波の中を帰れそうにはない」

ヘレナはすぐに返信しました。
「わかったわ!今夜はアラートベイの家に全員で滞在して。私たちは3人で乗り切ります」


というわけで今夜はヘレナ、Pちゃん、わたくしの女子3人で過ごす事になりました!



お昼過ぎにヘレナがレコーディングを見てくれるからということでわたしたち2人はランチに出されたのですが、キャンプキッチンに立ったとたんヘレナからトランシーバーで
「ラビングビーチの水中マイクからコールが聞こえて来たからお願い」
との連絡がありました。
やっぱりね。ゆっくり食べられるわけがない。


ラビングビーチにはテスト運用中の監視カメラが2台あって別々の方向を向いています(さまざまな事情でまだ配信するには至っていません)。どちらもパソコンでコントロールしてオルカの姿を追います。
セキュリティ用の監視カメラなので「オルカライブ・プロジェクト」だった当時のものよりは画質は落ちますが、それでもラビングを楽しむオルカたちの様子を見る事ができ、オルカラボとしても近年中に配信をめざしているみたいです。

1台はラボのパソコンでアシスタントがコントロールし、もう1台はポールのパソコンにシステムが入っているのでポールがメインハウスからコントロールしています。
つまりラビングビーチにオルカが来たら、どうしても2人必要なんです!


でもそのポールはアラートベイに行ってしまっているのでヘレナがポールのパソコンをラボに持って来て、レコーディング作業しながらカメラ1を操作。
まずPちゃんがランチをあきらめてラボに走りカメラ2を操作。


ラビング終わったかな?ってころにPちゃんはキャンプキッチンに戻って来たのですが、またラビングビーチの水中マイクからコールが聞こえて来たのでそれまでにサンドイッチを口につめこんだわたしがラボに走ってカメラ2を操作。
ほんと…食事をゆっくり食べた覚えがない…。



わたしたちは3人であっぷあっぷだったのですがアラートベイの家ではもっと大変な事になっていたようです。
なにせベッドがふたつしかないのに、元々夏の間だけ間借りしていたマイクを含めて9人(プラス猫とうさぎ)が泊まるんですから!笑
パーティですね。



女子3人なのでディナーはスウィーツでした!!
朝食じゃないよ、ディナーですよ

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こんな食事、男子がいたらできないじゃんね☆
デザートいらずっていう。


夜、オルカたちはジョンストン海峡を西へと進んでいたので「この後どうなるか?」という予想大会をしました!


ヘレナ…全てのオルカたちはウェイントン・パスからブラックフィッシュ・サウンドへと抜け、遠いクィーン・シャーロット海峡へと進んでゆき私たちは眠れる

わたし…I33sを北へと見送ったA30sとA5sだけが夜中に帰って来る



正解は翌日。
2014-09-08 : 未分類 : コメント : 0 :
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9月1日

今日から9月に入りましたがカナダは祝日だそうで、スポーツフィッシングボートがいっぱいです。ボートノイズもいっぱいです。9月1日まで休みっていいよねえ。


時刻を遡って午前0時、ジョンストン海峡を西へと進むA30sとすべてのA5ポッド。
午前0時45分くらいにターンして東へと向かい、午前4時30分いったん水中マイクのエリアから出ましたが、午前7時にはまたエリアに戻ってきました。

わたしは午前1時~5時までレコーディングに入り、その後力つきてPちゃんと交代。
午前9時に「背びれがブラックニー・パスにいる!」とポールとヘレナ、Pちゃんがバタバタしていたので目覚めましたが正体はゆっくり泳ぐイルカでした。
まあこんなこともあります。



朝ご飯を食べようとキャンプキッチンに行ったらPちゃんがしょう油味のスープを用意してくれていました!
スープをあっためて、タッパーにつめてある玄米ごはんを放り込んで卵を落として食べなさいということらしい。
なんて美味しいんだ…日本の味がしました。涙


9月に入ったので8月の集計をしてみました。
8月はじめはわたしがハンソン島に来て、その後すぐポールとヘレナが数日ハンソン島を留守にしてとバタバタしていたのですが、ポールとヘレナが帰って来た8月6日からどうもディナータイムにオルカが来る事が多すぎる。

ということで8/6~8/31まで、ディナー&その後の皿洗いタイムである午後6時半~10時くらいまでの間にオルカが通った確率は…「60%」!!
しかもそのうち3分の1は午後6時半~10時までの間に2回通られていました。
だからディナーをゆっくり食べられた覚えがないのか!!笑


もちろんA30sが圧倒的に多いのですが、I15sやA36sにやられたことも多々あり…潮の満ち引きの時間帯も違えば、オルカたちの進む方向も北や南とバラバラ。
オルカラボ史上こんなことがあったでしょうか?笑


というわけで本日のディナータイムオルカは何と、ビッグス(トランジェント)のT55s!!
まさかビッグスまでやってくれるとはね☆
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T55sは最初ジョンストン海峡のほうへ向かっていたのですが方向を変えて北へと進んでいきました。
頭数が足りなく見えたこともあってヘレナは現在の個体識別のまだ若い「神様」ジェレッド・タワーズさんに「T55sらしきビッグスの群れがオルカラボの前を通過したんだけどあとで写真を送るから確認して」と連絡をとりました。

するともう日が落ち始めているというのに「ビッグスの確認のためなら!」とジェレッドはすぐに家を出てボートを出し(きっと暖かいお家でご飯を食べていたでしょうに…)、寒くて薄暗いブラックフィッシュ・サウンドへ向かったのです!!
もうかっこよすぎます。わたしたちのヒーローです。
ここまで情熱あふれる調査員だからこそ天下のIDカタログに名を連ねることができているんですよね。

しかし神様ジェレッドでもオルカを探し出せない場合もあるのです。
数十分後、海上にいるジェレッドからヘレナに届いた無念の携帯メールは「追いつけなかった。暗い中オルカだらけでとても確認のしようがない…ごめんなさい」という、とってもカワイイものでした!!
オルカだらけ?笑

そうです、FIの水中マイクからはA30sとA5sのコールが聞こえて来ていました。
ジョンストン海峡を西へと進んでいたのは知っていたけど、ウェイントン・パスを通過して北へ出てしまったらしい。ビッグスがどちらの方向に進んだかはわからず、光が失われる中あちこちに背びれが見える状況では狙いをしぼることもできません。
(でも後ほどヘレナがPちゃんの撮った数枚の写真をメールで送り、神様は「間違いなくT55sである」と確認してくださいました)


21時、もちろんまだディナータイム。
A30sとA5ポッドたちはオルカラボの前を通過してジョンストン海峡へ。
ボートノイズが過ぎ去った後美しいコールを響かせてくれました。
次の日へ続く。
2014-09-06 : オルカ : コメント : 0 :
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8月31日

東へ消えてゆくA23sとA25sを見送って安心して眠りについたわたくしたち。
通常、オルカたちが興奮した様子で北に消えてゆく時は、ブラックフィッシュ・サウンドに留まらずそのまま遠い北のクィーン・シャーロットに向かうことが多いのです。
なのでわたしたちは「今日こそはきっと寝られる」という希望に包まれて寝袋に入ったのでした。


午前3時14分、コールズオンFI。
おはようございます。


A30sとA42s、そしておそらくカイカシュ君。
真っ暗闇のブラックニー・パスを通過してジョンストン海峡へ入りました。

ゆっくりと東へ進んだ彼らは午前7時にラビングビーチに到着。
1時間ほどゆっくりとラビングを楽しんで西へターン。
午前11時まえにオルカラボの前に登場しました。


北へと進むA42s(旧A8s)のうつくしいこと。
 14083102


この時は確かにカイカシュも群れの中にいたのですが、午後2時にA30sとA42sが北から戻って来た時はもうそこにはカイカシュの姿はありませんでした。
また一人旅で北へと進んでいってしまったのかな…?




あまりにも便利なウォーキートーキー(トランシーバー)
今まで夜だけ使っていたのですが「昼間も使おう!」ということになり新型がやってまいりました。
14083101.jpg


夜用のオレンジよりはるかに性能が良いです。
オレンジ色より黄×黒色のほうが優れているというだけでわたしは有頂天でございます。(わかる人にだけわかればいいです!笑)


さてオルカラボの前を通過してジョンストン海峡に戻ったA30sとA42s。
そこから3時間CP前で食事を楽しんでいたようでした。
18時49分、またしてもディナーの準備中にオルカラボ前へ。


彼らはたくさんのイルカに囲まれており、若いA30sのオルカの1頭が「ダウンスウィープ」とわたしたちが呼んでいるコールを繰り返し出していました。
このコールはオルカにとってあんまり都合がよろしくないと思われる時によく聞かれます。
要するに嫌なんでしょうね、鮭のかけら目当てでまとわりつくイルカが。
でもレジデントのオルカはほとんどイルカに対して何もしません。


そしてようやくディナーを食べられると思ったら…
LLの水中マイクから元気なコールが聞こえて来て、真っ暗な中オルカたちがラボの前に戻って来た事を知りました。
早すぎるよ…ディナーくらいゆっくり食べさせてよ…。



そうなんです!!
ここ3日は夜中を含め、1日「5回」もオルカがオルカラボ前を通るので忙しいのだと思われます!!
コールが聞こえているだけだったらひとりがラボにいて交代でご飯を食べたりできるけど、オルカがブラックニー・パスにいたら全員がラボの中かデッキに集まって仕事しなきゃいけないので…。
ポールもヘレナもわたしもPちゃんも、もうふらふらでした。
だけどこれはありがたいことなんです、本当に。
オルカがいないとオルカラボの意味ないから!


でも、でもこれが多くのアシスタントが帰る前の出来事だったら…もっともっとありがたかったんだけどな…笑


A30sとA42sはジョンストン海峡に入りました。
するとジョンストン海峡の東から戻って来たA23sとA25sのコールがラビングビーチの水中マイクから聞こえ始めました。ロブソンバイトあたりで出会った両グループは1日会ってないものだから大興奮!笑
ひと騒ぎしたのち、西へと進んでいったのです…。
2014-09-05 : オルカ : コメント : 0 :
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8月30日

日付が変わってすぐ、午前0時8分。
体制を整えたA30sとA42sは再びオルカラボの前に現れて、今度はちゃんとジョンストン海峡へ入ってゆきました。良かった良かった。


午前2時。
ろくに眠る事もできず、日中はリラックスして食事をとることもできず、疲れがたまっていたわたしはウトウトしてしまってログブックにまともに字を書く事ができませんでした。
修正ペンで何度も歪んだ字を消さなければいけない状態。
あわや突っ伏して寝…というそのとき、ログブックにしずくがひとつ舞い降りて来たのです。

ぴちょん。


ほとんど働いていない頭でしずくが落ちて来た天井を確認。
天井のガラス窓には、叩き付けるような雨。








… 雨 漏 り だ ~ !! ヽ(゚Д゚)ノ








ゲストのトムが来ていた関係で、雨漏り個所には山のような機材がありました。ひえ~!
選択の余地なくレコーディングは放置で機材の移動、どうしても動かせない配線は手持ちのタオルやジップロックなどで覆っている間に雨漏りはひどくなりぴゅーっと水が流れて来たので、とりあえず室内のミニトマトに水をあげる水差しをその下に置いて時間稼ぎ、バケツを探しに雨の中、凍えるような寒さの外へ走りました。
水差しの口は小さいので雨漏り個所が横に広がったらおしまいです!!

ようやく機材のすきまに置ける小さいサイズのバケツを探し出して雨漏り個所に設置。その間にラボの入口にも2箇所ひどい雨漏りを確認し、再びバケツを探し出して設置。
濡れたところを拭いて、飛び跳ねたしずくがかからないように大きいサイズのゴミ袋で機材を覆って、ようやくひと段落して録音席に戻りました。

ヘッドフォンをつけて各水中マイクから聞こえて来るひどい雨の音をぼーっと聞いていると再び眠気が襲ってきました。
いかんいかんとペチペチ頬を叩いていると、それと同じタイミングでカッカッカッカッとヘッドフォンからクリック音が聞こえて来るではありませんか。
エコロケーションだ。



ロブソンバイトに到着したA30sとA42sは東から戻って来たA23s/A25sと出会い、全員で西へと進み始めたのでした。わたしは午前5時まで粘ったのですが、眠すぎてまともな字が書けなくなったのでPちゃんを起こして交代してもらいました。

「雨漏りなんていう緊急事態なら、どうしてもっと早く私を起こしてくれなかったんですか!」
と怒られました。笑


だって3人しかいないのに2人同時に起きてたらそのあとまわせないんだもの…
誰かが犠牲になるしか…



西へ進み続けたA30sとA5sは午前8時ころテレグラフコーブ沖で方向を変え東へ戻り始めました。
午前11時前にA30sとA42sはオルカラボのほうへ、雨の中北へと消えてゆきました。A23sとA25sはみんなとバイバイしてそのまま東へ。


午後13時ころ東から速報が入ってきました。
昨日ひとりで東に向かっていったA46(カイカシュ)が、遠い東のチャンセラー沖で確認されたとのこと。
やっぱりひとりでいるのか…。




午後3時ころA30sとA42sは北から戻って来てオルカラボの前を通過してジョンストン海峡へ。そしてCPまえでしばらく食事をしたあと、午後7時前に再びオルカラボの前を通過して北へ。
ほんとよく通るなあ…。


「A23sとA25sは?近くまで戻って来ているはずよ」とヘレナが言いました。
「いや、見ていません」
「ほんとうにもう誰もブラックニー・パスにいない?確認して」


デッキに出ていたわたしとPちゃんは「きっとA23sとA25sは東へ戻ったんだよ…」と思いながらも必死でスコープでブラックニー・パスをくまなく見渡しました。
そして10分くらいして、ジョンストン海峡からやってきたひとつの背びれを見つけたのです。


わたしたち「来た!来ました!!とりあえずオスが1頭来ました!!」
ヘレナ「A23sのA60(ファイフ)?それともA25sのA61(サージ)?」
わたしたち「確認いたします!!」


そしてスコープでじっくりとそのオルカを見たわたしとPちゃんはお互いにこう言いました…。





「この背びれ…A46(カイカシュ)じゃない?」






ラボ内でオルカライブの監視カメラをパソコンで操作していたヘレナはガラス越しにこう叫びました。
ヘレナ「そんなことできるわけないわ!だって彼は6時間近く前に遠い東で目撃されてるのよ!」
わたしたち「でもA46です」
ヘレナ「まさか」



やがてオルカラボの真正面をすごいスピードで通過したその彼。
スコープで確認できました。
間違いなくカイカシュだ~!!



彼が北へ消えてからしばらくして、北のFIの水中マイクからオルカたちのコールが聞こえてきました。
A30sたちに合流したカイカシュ君はしきりにA30sのコールを真似していました。そしてA30sとA42sはとてもとても興奮していました。

「どんなに猛スピードで海峡を飛ばして来たのかしら」と苦笑いのヘレナ。

通常では考えられない距離を短時間で泳ぎ抜いたカイカシュ君。
興奮したオルカたちのコールを聞く限り、わたしたちと同じようにA30sたちも彼が追いついて来るとは夢にも思わってなかったのかも!笑

あ、そういえばまたしてもディナー妨害の時間だったなあ…笑



午後9時前にA30s、A42s、そしてA46(カイカシュ君)のコールは北へと消えたのですが、その2時間後にジョンストン海峡に残ったA23sとA25sのコールがCRPTの水中マイクから聞こえてきました。彼らは東へと進み日付が変わって午前0時半にラビングビーチ沖から水中マイクのエリア外へと消えてゆきました。
2014-09-05 : オルカ : コメント : 0 :
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8月29日

前日の続き。
真っ暗な中、謎のブローがオルカラボの向こう岸ぞいでくつろいでいる状態です。


午前0時15分、ひとつのけたたましいコールで目覚めたわたしは寝袋から飛び出てラボに入りました。
ラボの中にはまだヘレナ。


わたくし「A30s?」
ヘレナ「そうみたいね…笑」


謎のブローの正体はビッグスではなくA30sでした。
なんでオルカラボの前の海でコールもなく休むんだ…
A30sはその後ようやく動きだしましたが、コールはそれ以上は何も出さないままジョンストン海峡へと消えていきました。


ヘレナはその後録音を止めたのですが、A30sは午前3時半ころまた鳴き出し午前5時前にラビングビーチ沖まで来ました。疲れたわたしはPちゃんに録音を引き継いで寝袋に戻ったのですが。

それから1時間後に、スピーカーから聞こえて来たあるコールでがばっと目覚めました。
「A46(カイカシュ)が戻って来た!?」





午前6時30分、まだ薄暗い中、A42sと一緒のカイカシュ君は北からオルカラボの前に現れました。
仲間と一緒だし、元気そうで良かった!!
彼らはジョンストン海峡に入り、ラビングビーチ沖から戻って来ていたA30sと出会いました。


ところがです!
A30sとA42sはブラックニー・パスの入口で体制を整えると、午前9時ころブラックニー・パスに入って来たのです。そして2家族と別れたカイカシュ君は1頭で東へ…。遠い遠い東へ…。



オルカラボの前を通過したA30sとA42sは、ひとりぼっちのカイカシュ君が東へ向かっても追いかけるようなそぶりもなくリラックスした様子でした
 14082901



A30sとA42sを北へ見送って心配するわたしをよそにヘレナは言いました。
「A46(カイカシュ)はきっと1頭でA1ポッドの仕事をしようとしているのよ、ジョンストン海峡の東をパトロールしにいったんでしょう」


ここジョンストン海峡では、家族をなくしてひとりぼっちになったオスのオルカはその多くがすぐに行方不明になっています。
A5とA26兄弟のときが典型的で、兄のA5を失った弟のA26は他のどのオルカとも交流しようとする事なくコールを荒げたまま1頭で泳ぎ続け、やがて行方不明になったようです。


しかし元が社交的なカイカシュ君は今シーズンの最初にいったん兄のA37が行方不明になったとき(なんとその後戻って来たのですが)もA42sと一緒に泳いでいたし他の群れとも交流しているようなので、他のオスオルカたちとは同じようにはならないと信じたいです。


人間たちもA37の消息についてあまり語ろうとはしていませんでした。
今シーズンの始めにいったんいなくなった時はFacebookのオルカ関係のページに追悼コメントがずらりと並んだものだけど、その後帰って来てしまったので今回は慎重なのでしょう。
「突然いなくなって戻って来たことが2回も(今シーズンの始めと2002年)あるのだから、今回いなくなる前日のあの光景を目にしていなければどこかで生きていると信じたくなるのも無理はないわ」
とヘレナが言いました。



A30sとA42sはお昼くらいにまた北からオルカラボの前に戻ってきました。


 14082902

A30sの11頭がリードして、A42sの5頭がその後ろに続いて。
美しかったです。


A30sとA42sはジョンストン海峡に入ると東には行かずにそのままEBP(ブラックニー・パスの入口)あたりで5時間に渡って食事をしました!
これはわたしたちにとっては「よい傾向」と言えるものです。
ここ数年はほんとに少なかったチャムサーモンが今年はいるってことなのだから!


んで5時間後、もうすぐディナーという時間。
A30sとA42sはまた再びオルカラボの前を通過して北へ。
んん…なんか今日はやたらめったらオルカたちを目にしてるなあ…。


そしてディナー中。
「今は何も聞こえてないんだから録音をそのままにしてディナーを食べにきなさい」
と言われたのでレコーディングを放置してメインハウスでのディナーを楽しんでいたのですが、しばらく聞こえていなかったコールが再び聞こえて来たので「私が行くからあなたたちは食べてなさい」とヘレナがラボに確認しに行ってくれました。


そしてすぐにヘレナからトランシーバーで連絡がありました…
「コールズオンLL、オルカたちがラボの前にいるわ…」


オルカたちがラボの前にいるとはいってもすでに真っ暗なブラックニー・パス。
しかも昨日と同じようにブローは対岸ぞいに移動してゆき、確認するのも困難な状態に。
だけど昨日よりマシなのはコールを出してくれたこと!!


オルカラボの対岸、パーソンベイでしばらく休んだブローは2時間以上かけていったん北へと戻りはじめ、日付が変わる前にコールは北のFIの水中マイクから聞こえる状態になったのでした。
2014-09-05 : オルカ : コメント : 0 :
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8月28日

それまでも忙しかったのですが、この日から信じられない忙しさにわたくしたちは見舞われます。

そもそもわたしがオルカラボに到着した8月2日から現在までにかけてオルカたちが夜鳴かなかった日はほとんどなく、8月19日以降はラボにいるアシスタントがわたしとPちゃんのふたり。
来客がある間はポールはボートでの送迎や打ち合わせなどとても忙しいので、夜中のシフトは


ヘレナ→夜22くらいから午前1時
わたし→午前1時から午前4〜5時くらいまで
Pちゃん→午前4時くらいから午前7〜8時くらいまで


みたいな感じでずっとまわしていたのでした。


わたしは午前1時まで眠れる日もあれば眠れない日もあり、またPちゃんに引き継いでから寝られる日もあれば1〜2時間後にオルカが来て起きなきゃいけない日もあり。
もちろんあとの2人も同じような状況。休みは1日もなく、たとえコールが聞こえない状況であっても聞こえ始めたらすぐに目を覚ましてレコーディングをスタートさせなければならないのでぐっすりも眠れない…という、結構ギリギリの状況の中で日々を過ごしておりました。


思えばここ最近、ランチもディナーもまともにリラックスして食べた覚えがない…。
だいたいラボに何か持ち込んで、仕事をしながら頬張るという状況でございました。
ここのブログも、日中はバタバタしすぎているので夜中のレコーディング中に書いていました。
書ける日もあれば眠すぎて倒れそうで書けない日もあって…。


でも事あるごとにヘレナはこう言ったのです。
「私たちがこんなにボロボロになるまで忙しいということはありがたいことよ!オルカたちがコア・エリアで多くの時間を過ごしているっていうことなんだから。ここ最近はオルカたちは海峡を離れがちだったけど、まるで通常の夏に戻ったみたい。だからこの忙しさを楽しみましょう!」



本日から数日間ゲストのトムさんが水中マイクのテストをしてくれました。
ポール運転のジューン・コーブ号で各水中マイクステーションに行きダイビングをしてくれたのです。

水中カメラを持って潜り、水中マイクの現在の様子を撮影(海藻だらけのものもあれば奇麗なのもありました)。
さらに潜っている間に特定の周波数の音を水中マイクに向けて出して、ラボ側で録音してちゃんと全てのレンジの音を録音できているかスペクトログラムで見るのです。

わたしは丁度レコーディングに入っていて、何かカワイイ電子音が聞こえて来て楽しかったです!
オルカがいない箇所の水中マイクを選んで順番にテストをしていったので
あまりにもカワイイのでシステムからは抜かなかったんだけど、オルカライブの視聴者コメントを見る限り英語版でも日本語版でも気づいた人はいなかったようでした…残念。



今夜はウオッチングボート「トゥアン」を今期操縦しているマイク(ex- Blue Fjord船長)がオルカラボにディナーを食べに来ました!
マイクが到着してすぐ18時半ころA30sがオルカラボの前を通過して北へと向かっていきました。



水中マイクの専門家トムさんはお客さんなんだからディナー後くつろいでいればいいのに
「何か手伝える事はないかい?」
と言い出して、残り物をタッパーに入れて片付けたり、洗ったお皿を拭いてもとの場所に片付けたり、初めてオルカラボに来たはずなのにやたらめったらテキパキ動いてくれてびっくりしました!!笑
2ヶ月オルカラボにいたはずのアシスタントでも「これどこに片付ければいいかわかんないわ…」って言ってる人もいるのにできる人は何でもできるんだなあ…笑



コールはしばらく聞こえていなかったので「今日こそ寝られるかな?」と期待してPちゃんと共にメインハウスを出たその瞬間、わたしたちは目の前の海で正体不明のブローを聞いてしまったのです!!


わたくし「オルカ…だよね?」
Pちゃん「オルカ…ですね…」


ポールとヘレナ、マイクとトム、そしてPちゃんの5人がラボのデッキでブローを確認しようとしてくれたのですが、ブロー(8頭以上)は北へも南へも進まず向こう岸側に進んでとってもかすかな音になってしまいました。
わたしはラボの中でレコーディングを始めたのですがなんのコールもなし。
ということは、ビッグスかな…?


午後23時30分。
まだブローはオルカラボの前、遠い向こう岸がわで動かない。
ヘレナが「いつものように私がしばらくやるから、あなたたちはいったん寝袋に入りなさい」と言ってくれたのでわたしたちはもやもやした気持ちのままラボを後にしたのです。
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8月27日

ケイトとカイが島を発つ日!


前日北に消えたオルカたちもしっかり午前3時前に戻っていらっしゃいました。
お帰りなさい。


A23sとA25sはウェイントン・パスからジョンストン海峡入り。
早朝から午前9時くらいまでかけて東へと向かい水中マイクのエリアから出て行ったのでした。



本日はDATデッキの引退セレモニーがありました!!

 14082701
(DATデッキをシステムから取り外して嬉しそうなポール・スポング博士)


新しいレコーディングマシーンR-44の操作方法に慣れるまで(といっても録音ボタンを押すだけなのですが…)万が一のためにパラレル録音していたDATもとうとうテープの在庫が底をつき、引退することとなりました。

デジタル録音があまりにも楽ちんでポールとヘレナは逆に戸惑っております。
初めてオートマ車に乗った時のような気持ちであると思われます。



午後になってとうとうオルカラボ漫才コンビ、ケイトとカイがジューン・コーブ号に送られて島を出ました。
ふたりとも学校があるからこれ以上長くは滞在できないのです。
本当によくしゃべる2人だったから、いなくなったら一気に静かになってしまいました…。

14082702.jpg


あっ2人が肩を組んでいるのは写真を撮るためにポーズをとっているだけですよ、念のため!笑
ケイトはカイのことを弟みたいに思っているだけらしいですから、念のため!笑



オルカラボのアシスタントは本当にわたしとPちゃんだけになってしまいました!!
CPは誰もいないので閉めることになりました。
テスト運用中の監視カメラがあるから一応オルカの動きは追えるんですが。



午後3時、北に行っていたA30sが水中マイクのエリアに戻ってきました。
午後4時半ころオルカラボの前を通過してジョンストン海峡へ。
そしてゆっくりとロブソンバイトへ進み、ラビングビーチからのコールを最後に東へと消えました。


このまま1日が終わると思われたのですが眠る前にちょっとしたサプライズがありました。
CPの水中マイクから大きなビッグス・トランジェントのコールが聞こえて来たのです!!


獲物がほ乳類なので存在を気づかれないために普段はもの静かなトランジェントですが、食事を終えた後などリラックスした時に鳴く場合があります。
この2時間ほど前にボートベイ沖で8頭くらいのブローが聞こえたらしいのですが、その後CPに来るまでに2時間かかっているということはその間にどこかで獲物を捕らえていたのかな?

トランジェントのコールは間もなく消えて日付が変わる前に海は再び静かになったのです。
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8月26日

 14082401
今年のオルカラボのひみつ兵器ウォーキー・トーキー(トランシーバー)。
これさえあれば島のどこにいても連絡がとれます!

島の事情を知らない人には何のこっちゃかもしれないけれどおそるべしオルカラボではカナダの携帯の電波すら通じない場所が多々あるのです。そもそもわたしらの携帯は高額になるからこちらでは使えないし。
旧アシスタントだったら「何でもっと早く導入しなかったんだ!」って思うでしょ?笑

これで日中どこにいても人を探しまわることなく連絡とれるし、夜中もヘレナのベッドルームまで「コールズオンFI!!」なんて言いに走らなくてもすむのです!



早朝にオルカライブのアップデートをしたもののその後インターネットが繋がらず、原因もわからなくて呆然としていたらケイト(カナダ人)が自分のスマホで情報を探し出したらしく「アラートベイの停電によりネットも落ちているみたいよ!」と教えてくれました。
アラートベイが停電でもオルカラボは快適に電気が使えるなんてへんな感じ。
ソーラーパネル様々。


ポールとヘレナはゲストをつれて帰ってきました。
今回のゲストは水中マイクの専門家トムさんで、数日滞在してオルカラボの水中マイクをチェックしてくれるらしいです。


オルカたちは本日は午後になってから水中マイクのエリアに戻ってきました。
A30sとすべてのA5ポッド、そしてA46。
A30sとすべてのA5ポッドはウェイントン・パスを通過して北へ。
ブラックニー・パス好きのA36sであるA46は、ブラックニー・パスを通過して北へ。
日付が変わる前に北へ消えていきました。
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8月25日

オルカの家族名がさっぱりわからない…という皆様。
とりあえず2010年バージョンのIDカタログがネット上にありますので、少し重いファイルですが興味ある方はどうぞ!
http://www.dfo-mpo.gc.ca/Library/343923.pdf

現在のオルカラボのネット環境では重いデータをダウンロードできませんので、ネット上に新しいバージョンがあるかどうかちょっと確認できないのですが、また今後アップデート情報を整理でき次第お知らせできればと思います。
家系図がわかるとノーザン・レジデントのオルカのことがいっそう身近に感じられると思いますのでぜひ☆


あと昨年生まれのスプリンガー(A73)の赤ちゃんには「スピリット」という名前がつけられました。
オルカの名前はこの周辺の地名からとっているのですがスピリットという場所もちゃんとあるそうです。






さてこの日、ポールとヘレナがひと晩オルカラボを留守にするので、ナイトシフト要員としてケイトがCPから戻ってきました!!
「今だから言うけどね、トモコとモモコが一緒に行ってくれなくてカイとふたりでボートベイパーティに行くはめになったものだから、現地のいろんな人たちに『倦怠期の夫婦』って呼ばれ続けたのよ!!」

カイ21歳ケイト24歳。
「言っとくけどカイは弟みたいなもんで全くもってそういう気持ちはないんだからね!いろんな人にからかわれてほんと酷い目にあったわ〜」
って言ってたけどいいじゃないですかいじゃないですか。


去年ほどのベストなチームワークってわけではないし島での生活が合わなくて早めに島を発った人もいたみたいなんだけれど、今年のアシスタントもあまり人間関係のトラブルはなくて良かったと思います。
ふたり一緒に居るとまるでお笑い芸人のようなケイトもカイも残り数日。
また来年も一緒に働けるといいなあ。


本日は朝からオルカがジョンストン海峡を行ったり来たりで比較的ゆっくりのオルカラボ。
アラートベイの町長さんがボートでご家族を連れてちらっと見学にいらっしゃいました。

見学のご家族がいらっしゃったとたんラビングビーチの水中マイクからコールが!
わたしはテスト運用中(残念ながら今シーズンは配信できる段階ではないのです…)のラビングビーチ監視カメラの操作をはじめました。
カメラの視界は狭く、ラビング音が聞こえたとしても必ず姿が見られるわけでもなく、まあ遠い沖に1頭2頭泳いでいるのを見せることができればなあと思ったら!!


来るわ来るわ、次から次へとカメラの視界に6頭一気にラビングに来たじゃありませんか!!
ものすごい光景にお客様たちが「さすがオルカラボですね!」って喜んでいたその直後。
お客様をご案内していたヘレナが「外にザトウクジラがいるわ」とのひと言。

ご家族の半分くらいが外に出てザトウクジラ鑑賞。
なんとザトウクジラはラボの目の前で口をぱっかーんと開けてお食事!!…していたらしい。わたしはラボの中でラビングビーチカメラ操作でアップアップだったのでひと目も見られなかったのですが。


お客様のラボ滞在時間は約15分。
「オルカラボって本当に素晴らしい場所だね、見学させてくれてありがとう!」と町長さん一家は大喜びで帰っていったのですが…。
その15分で全て終わってまた元通りのボートノイズになったのは内緒。
お客様たちが見学なさっていったのはわたしたちのハイライトですよ…笑



と思ったけど1日はこれで終わりませんでした!!



ポールとヘレナが準備をしてテレグラフコーブの会議に向かう直前のことでした。
大きな水しぶき音に驚いて海を見たPちゃんが叫びました。
「またトランジェントが!!」


前回よりはちょっと遠かったけど、なんとビッグス(トランジェント)のT60sが再びオルカラボ前に来て狩りを始めたのです!!なんで?なんで?前回見逃したケイトのため?笑
わたしそれまで16年オルカラボにいてトランジェントの狩りなんて3回くらいしか見たことないんだけど!!


今回のターゲットもイシイルカのようでした。
T60sはしばらくオルカラボ前でリラックスすると、向こう岸ぞいに北へと消えていきました。




ポールとヘレナが島を発って夜が訪れました。
わたしたちは海水で満たした海岸の五右衛門風呂を焚いて交代で入りました。
ちょうどケイトが入っているとき、A30sがオルカラボの前にやってきました…。


ケイトが慌ててラボにやってくるといけないのでわたしはバスタブの方に向かって叫びました。
「ケイト、わたしたちはオルカがここにいること知ってるから、安心してお風呂を楽しんで!」


Pちゃんがレコーディングをしていたのでわたしはブローを確認するため真っ暗なデッキに出たのですが、次の瞬間あわててラボ内のPちゃんを呼びました。


「レコーディングはいいから出て来て!ザトウクジラがヤシーズコーブにいる!!」


鳥目のわたしには姿は見えませんでしたが(Pちゃんによると夜光虫でほんの少し姿が見えたそうです)、わたしたちの入り江にザトウクジラがいるのが音ではっきりとわかりました。
少し沖にザトウクジラがもう1頭、20メートル沖くらいに数頭のトドたち、ちらほらといるイシイルカたち、そしてその奥にブラックニー・パスを通過していくA30sたち、A30sを追う数頭のカマイルカたち。
ブラックニー・パスはさまざまな動物の呼吸音でいっぱいになっていたのです。


それはそれは素晴らしい音でした。
全ての呼吸音が大きく、エコーがかかっていました。
風も波も全くなくて水面がガラスのようになめらかなのだろうと思いました。


A30sはオルカラボの前を通過してジョンストン海峡へと入りました。
そしてジョンストン海峡で待っていたA23s/A25sと合流すると、翌日の午前3時までゆっくり時間をかけて東へと向かっていきました。
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プロフィール

Tomoko(Orcalab Japan)

Author:Tomoko(Orcalab Japan)
カナダ・BC州の海洋生物研究所「オルカラボ」で、野生オルカ(シャチ)の鳴き声の解析スタッフをしています。
夏の間は研究のためオルカラボのあるハンソン島に滞在。日本ではよくライブハウスにいます
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