夏になると、野生のオルカが鮭を追ってたくさん集まってくる、カナダ、BC州のジョンストン海峡。その中でも、オルカが特に頻繁に通過するハンソン島から、毎日の生活とオルカの様子を、日本の皆さんにお届けします!

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8月5日

光陰矢の如し。

オルカラボに来てからまあ、いつものように夜中もオルカが鳴いていて
いつもならその時間帯にわたしが録音していて
外は真っ暗でカメラの操作もなく、録音しながら日記を書いています。


だけど今年は何せアシスタントが多いんです。
めまぐるしすぎた去年の教訓をふまえて
「ラボ前のザトウクジラの調査もカバーできる人数を確保」したので
しっかり夜シフトの人員もいるわけですね。


新人さんたちは夜シフトに入っていてもコールがわからないので
いつでも質問できるようにわたしが待機していて
オルカたちに何か動きがあったときだけわたしもラボにおりて新人さんたちに指示するシステムのはずだったんですけど


新人さんたちはほとんどが海洋生物学を専攻している大学生で、オルカに関する基礎知識はあっても、ジョンストン海峡のオルカたちの歴史とか、オルカラボの歴史とかを知らないのです。
だから夜中他の人たちがいなくて質問しやすい空気になるとめちゃくちゃグイグイくるわけです!!
気がつけば話し込んで朝を迎えていたり…。







例えばA46(カイカシュ)っていう1頭のオルカがいます。
家系図に乗っている情報だと、A36sという家族に属しているおとなのオスというだけ。
でも現在はA34sという家族と一緒に泳いでいます。


そこに至った経緯も
最初はお母さんと3頭の息子という家族構成で、カイカシュは末っ子。
1997年にお母さんが亡くなって10年以上を3兄弟で過ごしていました。

3兄弟と仲の良いばあちゃん、A12さんが息子を亡くしたとき、A12さんは新しい息子たちを、3兄弟は新しいお母さんを手にいれたかのように一緒に泳ぎ始めました。それが2009年のこと。

2010年に長男が亡くなっても残りの2兄弟とばあちゃんはずっと一緒にいましたが
2012年にばあちゃんが亡くなったとき、ついに2頭になりました。

そして2014年、カイカシュにとって最後の家族だった兄のA37が亡くなったのです。


レジデントのオスのオルカはびっくりするくらい「家族が全て」です。
オルカの世界では母親が群れのリーダーで、父親は群れにいない(血縁上の父親であるオスもまた誰かの息子なので、自分のお母さんと一緒にいる)ため、メスは1頭きりでも子供を産めば自分の家族が作れるのですが、オスは家族を生み出せません。

そのため、多くの場合レジデントのオスは1頭になると死にます。
その原因は強いストレスであったり餌をとらなかったりであると言われています。
きょうだいがまだ残っているのに母親を亡くしただけで死に至る個体もいます。
娘はそうでもなかったりするのですが、オルカの世界では「母親と息子」以上の絆は存在しません。ようするにレジデントのオスは強烈なマザコンなんです!!
その次に強いのはオスの兄弟どうしの絆です。オルカたちの世界は不思議です。


そういった経緯があり
次々と家族を失って1頭になったカイカシュのことをわたしたちはものすごく心配したのですが、カイカシュはわたしたちの想像をはるかに超えた生命力を持つオルカでした。


彼は生きて、新しい家族を手にいれたのです。


ばあちゃんは息子を亡くして3兄弟と一緒に泳ぐようになったけれど、
全ての家族を失って3兄弟と泳ぐようになったわけではなく、
娘家族がちゃんといるのに、3兄弟と泳いでいたんです。
娘家族もばあちゃんの好きなようにさせてあげていました。笑

たまに全員で泳ぐこともありましたが、
また娘家族/ばあちゃん+3兄弟に分かれたりして、そしてまた合流したりして
「不思議なものだなあ」と思ったものです。


今カイカシュは、ばあちゃんの娘家族であるA34sと一緒にいます。
もともと仲が良かったから、居心地も良かったんでしょうか。

A34sには一緒に遊べるおとなのオスもいるし、小さな子供たちもいるので
カイカシュはもう二度とひとりぼっちにはなりません。
今年もA34sと一緒に、むしろ群れのど真ん中で元気に泳いでいます。笑







…というような話を
新人のみんなは聞きたがるのです!!!


そしてもちろんカイカシュだけでなく、
ジョンストン海峡の全てのオルカたちがそれぞれにストーリーを持っています!
わたしはたった18年分しか知らないけれど、それでも膨大な量のエピソード。

それを毎晩話し続けています。




それで夜が明けたら寝ています…。



わたしが来たので、それまでラボ2階に泊まり込みだったPちゃんはさっそくテントに引っ越しました!!そしてさっそくオルカたちのブローを聞いてラボに戻ってきました。笑

A42sが先頭で、少し遅れてA24s。
ジョンストン海峡に入って東へと進んでいきました。
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2016-08-09 : オルカ : コメント : 0 :
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プロフィール

Tomoko(Orcalab Japan)

Author:Tomoko(Orcalab Japan)
カナダ・BC州の海洋生物研究所「オルカラボ」で、野生オルカ(シャチ)の鳴き声の解析スタッフをしています。
夏の間は研究のためオルカラボのあるハンソン島に滞在。日本ではよくライブハウスにいます
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