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夏になると、野生のオルカが鮭を追ってたくさん集まってくる、カナダ、BC州のジョンストン海峡。その中でも、オルカが特に頻繁に通過するハンソン島から、毎日の生活とオルカの様子を、日本の皆さんにお届けします!

8月8日

午前1時半にコールは途切れました。
そのままわたしたちは静かな夜を過ごし…




午後になってA42sだけがジョンストン海峡に帰ってきました。
でもひと家族しかいないので、静かなものです。
やっぱり他の群れが一緒にいないと、鳴く頻度はぐっと減ります。


何かが動くのが見えたのでマップルームの窓からヘレナのプランタを見ると、
ミソサザイさんが植物の葉についた水を飲んでいました。
ちょこまかと1日中忙しそう。かわいい
16080801.jpg




ディナー前にちょっと気になる光景がラビングビーチのカメラに映し出されました。


実はラビングビーチは「ロブソンバイト生体保護区」の中にあり、許可を得た人(研究者、または許可証を持つ漁船)しか中に入ることはできません。
陸も含めた広大なエリアが保護区になっているため、陸からの観察すらできないのです。
(地図のライトグリーンのエリア)
16080802.jpeg


しかしオルカたちの「聖域」であるこのエリアでは、他の場所ではなかなか見られない素晴らしい生態が観察できるため、人間が中に入らなくてもその様子を見られるようにオルカライブ × exploreのリモートカメラを設置したのです。

そしてその中のひとつ「ラビングビーチ」のカメラに、生態保護区の中でオルカを追い回すゾディアックボートがはっきりと映し出されたのでした。

「なぜオルカを近くで見るのがいけないのか」
とみなさんは思われるかもしれませんが

わたしたちのエリアではオルカたちを守るために、たとえ生態保護区の外であっても「100m以内には決して近づかない、ボートで並走はしない、向こうから近づいてきた時にはすみやかにエンジンを切る」という厳しいガイドラインがあります。

ボートにはねられ重症を負ったり、命を落としたりしたオルカが何頭もいます。
ガイドラインがない他の国では
たった4頭の家族に100隻近くのボートが群がったこともあったようです。

私たちは水中マイクで海の音を聞いているのでよく知っていますが
ボートの音は基本的にとってもうるさいです。
大きな客船やタグボートの音で何も聞こえなくなってしまうと、それまで鳴いていたオルカたちが黙ってしまうのもよくあることです。

ジョンストン海峡の人々ははオルカがとっても大切で、未来に残したいので、できる限り彼らの生きる邪魔をしないよう観察したり、とても気を使ってウオッチングしたりしています。

オルカラボでは調査にボートすら使わず、陸からの観察もしくは監視カメラ、水中マイクでの観察です。
オルカたちの本来のリズムで生活している私たちには、陸からでもいろんなことがわかります。


ジョンストン海峡の人々はそういったことを考えながらオルカに関わっています。
しかし、たまたまボートでこのエリアに来た観光客はそんなことは調べていないのかもしれません。
追いかけたら逃げるのがなぜなのかも考えずにボートでぐいぐい追いまわします。


ヘレナが無線で「ザ・クリフ」のマリーに連絡しました。
生態保護区の監視員であるワーデン隊員がすぐにボートで出動し、ゾディアックボートを捕まえて厳重注意をしました。




わたしはものすごい田舎の出身なので、動物は
「山に住んでいるもの、タイミングがよければ見られる」と思っています。

でもいま現在、都会の人にとっての動物は
「施設でお金を払って見たり、ペットとして家で飼ったりするもの、できれば触りたい」
であるというのも知っています。


施設やペットは必要だとしても、そのふとした感覚が
野生動物の生態を脅かすことになっていないかなと思うのです。

小さい頃から野生動物と人間との本来の距離を学べるような、
そんな場所が都会にもあったらいいのになあ。

生き物の存在を尊重する、それだけでいいんだけどな。



ボートから解放されたA42sは東へ進み、水中マイクのエリアからゆっくりと出て行きました。
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2016-08-10 : オルカ : コメント : 0 :
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プロフィール

Tomoko(Orcalab Japan)

Author:Tomoko(Orcalab Japan)
カナダ・BC州の海洋生物研究所「オルカラボ」で、野生オルカ(シャチ)の鳴き声の解析スタッフをしています。
夏の間は研究のためオルカラボのあるハンソン島に滞在。日本ではよくライブハウスにいます
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