夏になると、野生のオルカが鮭を追ってたくさん集まってくる、カナダ、BC州のジョンストン海峡。その中でも、オルカが特に頻繁に通過するハンソン島から、毎日の生活とオルカの様子を、日本の皆さんにお届けします!

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7月31日

 ハイパー・ロータイド!
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 午前9時半。とても丁度いい時間に大きな引き潮が来たので、私たちは昨日さんざん引き潮で遊んだヒデさんにラボ番を頼み、3人で海岸へ出て遊んだ。今日は、今月いちばん潮が低い日。ふだん海の中で見えないイソギンチャクや、ヒトデや、ウニなどがしっかり観察できる。

 私たちが写真を撮ったりして遊んでいる間、ミンクも引き潮の海岸に降りて食べ物を探していた。彼はまるでカモメのうにちゃんみたいに、大きなウニをケルプの下から引きずり出して、器用に岩にぶつけて割り、中身を食べていた。

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 遊び終わって満足したら、今日はメインハウスの窓ふきプロジェクトだ。
 8月のオルカラボは忙しい。あと1週間もすれば最初のツアーが来る。それからは入れ替わり立ち替わりツアーが訪れるので、しっかり受け入れ準備を整えておかなくてはならない。メインハウスは光を取り入れるためにガラス張り、磨くのはけっこうな重労働だ。私たちがヘレナと一緒にガラスをふきあげている間に、ポールは森のトイレの修復。つや出しの塗料を塗って、ぴかぴかに仕上げてくれた。

 薪もたくさん割り、メインハウスへ運びこみ、ひと段落したのでご飯を食べようとすると、ヘレナが「オルカたちが東から戻って来ているわよ!耳を澄ませておいてね」と情報を持って来てくれた。ラボに戻り、録音待機。
 午後3時過ぎ、ラビングビーチの水中マイクからA24sのコールが聞こえて来た。A30sと共に、西へと進んで来ているらしかった。彼らはロブソンバイトで魚を少し食べ、CP沖を通過し、ブラックニー・パスには目もくれずに西へと向かって行った。

 私とモモちゃんは、飛行機雲で描かれた、空に浮かぶ不吉なバツ印を見ていた。今シーズン、散々あの群れに振り回された私たちは、もう何となく気づいていた。A24sが何かしでかす時は、空にバツ印が現れることを。しかも、今日のバツ印は、ダブルだった。

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 オルカたちはウェイントン・パスへ向かい、コールは途切れた。録音は中断され、私たちはディナーを食べるためにメインハウスへ集合。ポールがグラスにビールを注いでくれたので、それを飲みながらヘレナが生地からこねたピザが焼けるのを待っていると、無線で「ウェイントン・パスを通過して北に出たオルカたちが、ハンソン島ぞいに方向を変えて、ブラックニー・パスの方へと鼻先を向けているよ」との連絡が入って来た。

 ウェイントン・パスを通って北に出たあと、そのままブラックニー・パスを通過してジョンストン海峡に入るなんて、オルカたちにとってはけっこう無意味なことなので、新しい群れの到着を待っているなど、そわそわしている時くらいしか起こらない。ブラックニー・パスの方に鼻先を向けたとは言っても、魚を捕るためにちょっと寄り道しているだけかもしれない。
 それでも、オルカがこっちへ向かっているという情報をもらっておきながら、ラボに誰もいないのは無謀すぎるので、私はビールの入ったグラスを片手にラボへ向かった。

 ヘッドフォンをつけ、北のFIの水中マイクの音量を上げる。
 しばらくすると、レスティングコールが聞こえて来た。おっと、本当にこっちに向かって来ているみたいだ。急いでレコーディング・スタート。メインハウスに戻り、ポールとヘレナに報告。またラボに戻り、双眼鏡でガラス越しに海の様子を確認しながら、ログブックに録音のセッティングを書き込む。

 A30sが高らかに鳴き声をあげはじめた。彼らのエコロケーションの音も聞こえて来た。明らかにオルカたちはこっちへ向かって来ている。もう、いつ視界に現れてもおかしくはない。そういえば、私たちがハンソン島に着いた翌日、6月30日にA30sがこの海峡に来てからというもの、彼らは真夜中しかオルカラボの前を通らず、私たちは姿を見ることはできなかった。CPで日中彼らの姿を見ているポールを除いて、みんなA30sを見たくて、飢えていた。特にA30sがいちばん好きなヘレナにとっては、長い日々だったろう。
 苦節1ヶ月、ようやくあなたたちの姿を拝めるのか…。

 モモちゃんが焼きたてのピザを持って来てくれた。そのままデッキに出て監視にまわってくれたので、私はピザを頬張り、止まらないA30sのコールを聞きながら、カメラの準備をしていた。しばらくして、FIの水中マイクからのコールは止まった。彼らがFIの水中マイクのエリアを通過してこっちに向かっていると思われた。

「オルカ!!」
モモちゃんが叫ぶ。先頭のメスのオルカが視界に現れた。メインハウスにいたみんなはディナーを中断して、デッキに走って来た。A30sに会える!!
 それぞれが我れ先にとスコープについて、個体識別を開始する。…が、オルカたちは私たちのほうに頭を向けていて、タテにしか背びれが見えない。それでも大人のオスではない、とはっきりわかる小さな背びれが4つ現れた。その中の1頭は、ほかの3頭を置いて勝手にぐんぐん南へ進んでいる。うーん…。

 みんなが心の奥に閉まっていた不安が隠しきれなくなった。私はつい数時間前に空に出ていた2つのバッテンを思い出した。そしてヘレナに言われてズームつきのスコープをのぞき、先頭のメスの背びれとサドルパッチを確認して、みんなを心から落胆させる言葉を吐いた。

「A24だ…。ごめん…。」

 なんで個体識別して謝らなければならないのか。その場にいた全員がため息をついて一瞬スコープから離れた。ほんの少し角を曲がったところまで来ていたであろうA30sは、消えた。代わりに全く鳴かなかったA24sが、どんどん暗くなる景色の中ジョンストン海峡へと向かって行った。

 ポールが大きなかごに温かいお茶のポットとティーカップを並べて持って来た。冷えきった私たちは、少しでも暖まろうとお茶に手を伸ばした。A24sは潮に逆らって、いつものように1時間以上かけてオルカラボの前を通過した。そしてジョンストン海峡に入るとき、A12sのコールの真似をして、東にいる彼らのことを呼んでいるようだった。
 A24sはちょっとだけラビングビーチに寄り、A12sの姿を求めて東へと消えて行った。
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2007-08-03 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 2
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プロフィール

Tomoko(Orcalab Japan)

Author:Tomoko(Orcalab Japan)
カナダ・BC州の海洋生物研究所「オルカラボ」で、野生オルカ(シャチ)の鳴き声の解析スタッフをしています。
夏の間は研究のためオルカラボのあるハンソン島に滞在。日本ではよくライブハウスにいます
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